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ー鼓動ー163

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 雄介は俺の言葉に少し考えると、

「んー、まぁ、俺は普通の事をしてきたまでで……望にお礼を言われるまででもないんかな?」
「全く、雄介だって、そういうとこ素直じゃねぇよなぁ、俺がありがとうって言ってんだから、素直に取っていいと思うぜ」
「え? あ、そうやんな」

 そう雄介はその後は何も言い返さずに素直に納得してくれたようだ。 そこに安心する俺。

「俺は本当に雄介といられて幸せだって思ってるからさ」
「え? あ、そやな」

 先にそういう事を言っておけば雄介はその後に何も言い返さないのは知っている。 だからきっと今は甘々な時間なんであろう。

 雄介と付き合った頃の俺達だったらここで喧嘩をしていたのかもしれない。

 どうせ俺の事だから「何で素直にうけとんねぇんだよ……」とか言ってるうちにきっと喧嘩になっていたであろう。

 でも今はもう喧嘩はしない。 もう、お互いの性格とか分かっているのだから相手の事をよーく分かっている存在だからだ。

 俺はまたクスクスとすると、

「なぁ、雄介の方も俺の事分かってくれるようになったよな?」

 その言葉に雄介はまた俺の方を見上げて来る。

「え? あ、まぁな……。 だって、俺やって望ん事好きなんやもん……せやから、喧嘩したぁないっていうんかな?」
「ま、確かに俺の方も雄介の事が好きだから喧嘩はしたくないっていうのかな?」
「まぁ、そうやんな。 ホンマ……俺は望の事が好きや」

 雄介はそう言うと大きな腕で俺の事を更に抱きしめてくる。

「望がな……好きやって俺に言うてきてくれると……もっと望ん事が愛おしく思えてくんねん」
「え? あ、うん……」

 昔の俺ならこういう事されたもんならこの腕を振り払っていただろう。 だけど今はそんな事はせずにそのまま雄介の腕の中におさまっている。

 でも、よく考えてみると、恋人にこういう事をされると落ち着く。 てか安心するっていう気持ちのなれるのかもしれない。

 暫くこの時が止まってしまえばいいのに……。

 っていう言葉があるのだけど確かにそうなのかもしれない。

 俺達はこの一週間が過ぎるとまたいつもの生活に戻らなければならない。 まぁ、でも仕事だって嫌いではないのだけど俺と雄介は恋人なのだからたまにはこういう時が欲しいと思う程に俺は雄介の事を今は好きになってしまっている。

 そんな事を考えているうちに俺はどうやらそのまま雄介の上で寝てしまったようだ。

 心地よい上に体を重ねあっていた疲れがあったのか、いつのまにか睡魔に襲われていた。
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