上 下
105 / 881

ー鼓動ー105

しおりを挟む
「そん時は和也が俺ん家に来てくれて……ほんで、最後の方で、『お前が望と付き合わないんなら、俺が望の事奪うからなっ!』ってな……脅して来ておったんやけど、和也はその後笑顔でなんていうのか、俺の背中押してくれたっていうんかな?」
「へぇー、そうだったのか!? それって、和也はその事を本気で言ってた訳じゃなかったって事になんだよな?」
「多分な。 多分、俺の方が和也に望に対して本気なのか? どうなのか? っていうのを試されてたような気がするわぁ」
「まぁ、そういう事なんだろうな。 ホント、そういうところは和也って凄いんだよな」
「ああ、俺もそこはそう思うわぁ」

 そんな事を話ししているうちに、どうやら今回雄介が目的にしていた店の前へと着いたらしい。

「あ! ここやでっ!」
「へぇー」

 そう言いながら、俺はその店を見上げる。

 そこには『女性の方、入店お断り』という貼り紙がしてあった。

 当然ながら、その貼り紙のおかげで中に女性の気配は無いようだ。

 見た目は普通のお店っていうのかドアはガラスで出来ているおかげで中は見えるようになっていた。

「こういう店って普通にあるんだな」
「ま、女性客っていうのは入店禁止になっておるし、俺等みたいな人が気軽に入れるっていう感じなんかな?」

 そう言うと雄介は早速店内へと足を踏み入れる。 それを追い掛けるようにして俺も店の中へと入って行くのだ。

 中に入ると、そこには所狭しと商品が並んでいる。 本当にその店には、その手の玩具や道具しかない。

 そう所狭しと商品が並んでいるのだから、通路というのは人一人が通るのがやっとの感じだ。

 そして雄介が小さな声で、

「ここやったら、手繋いでおっても違和感無いと思うで」

 そう言って雄介は俺の手を握って来てくれる。 それからは雄介に引っ張られるようにして店内を歩く俺達。

 確かに違和感は無いようだ。 他のお客さんもパートナーと来ているお客さんというのは一緒に手を繋いで店内を歩いていたのだから。

 恥ずかしいというのも半分、嬉しいところも半分いう感じだ。

 確かに外で雄介とは手を繋ぐ事は出来ないけど、ここだけはホント自由な感じがする。

「ローションと他何にする?」
「……へ? え?」

 いきなりそう振ってくる雄介に顔を赤くする俺。

 流石にそれは恥ずかしくて答える事が出来ない。

「あ、それは……雄介に任せるよ」

 ……だって、実際の所、俺の方は店内にある商品っていうのをまともに見る事が出来てないんだからさ。

 と付け加えたかったのだけど流石にこの状況では恥ずかしくて言えず、雄介に任せるとしか言えなかった。

「ほな、何でもええんやな? 後で文句言わんでな」
「え? あ、うん……」

 先に念を押されてしまった俺。 ま、今の状況では仕方ないかな?

 俺は視線を下に向けながら店内を歩く。

 流石に今の俺には刺激が強過ぎるのかもしれない。

 こういう物も久しぶりに見てるからなのかもしれないのだけど。

 このままずっと見ていたら、流石の俺でも興奮するっていうのか、今夜の事を想像してしまいそうな気がして仕方がない。

 だから俺は見ないようにただただ雄介に付いて行くしか出来なかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

少年達は淫らな機械の上で許しを請う

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...