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ー鼓動ー76

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「看護師さんとか他のスタッフさん達とかって、俺等が診察室で座って患者さん達に事を診てる間にこんなにも慌ただしく動いてたんだな」
「え? あ、まぁ……そういう事やんな。 俺は患者さん側と医者側と経験しとるから分かっておった所なんやけどな」
「あ、そっか……そうだったんだっけ? しかし、病院内ってどうしてこうも快適な温度を保っていられるんだろうな? なんていうの? 家用のエアコンだと寒かったり暑かったりするのにさ」
「それは、家じゃ、光熱費の事を考えたりするからなんじゃないんかな? 快適な温度に保とうと思えば、それだけで料金っていうのは変わって来てしまうしな。 病院っていうのは光熱費とかっていうのはあまり考えておらんやろ? ま、患者さんの為にって思う方が上なんやからな。 せやから、快適な温度を保つ事が出来るんと違うかな?」
「あ、それはあるのかもしれねぇな。 ま、どんだけ病院内の光熱費が掛かってるのか? っていうのは分からないんだけどさ……ま、患者さんの事を考えたらこれ位の気温がベストって事なんだろうな」

 そう俺は雄介の言葉に納得してしまっていた。

「ほんで、暇やし、快適な温度やし、せやから、たまに睡魔に襲われてまうんやって。 あ、それは、患者さんとして待ってる時にやからな。 そりゃ、医者として働いておる時っていうのは、逆に睡魔なんかに襲われた事なんてなかった位やったわぁ」
「当たり前だ。 医者が仕事中に寝てどうするんだよ」
「ま、確かにそうやねんけどな」

 そう話が終わった頃だっただろうか俺は雄介に聞いてみたい事があって聞いてみる事にした。

「あのさ、雄介はここで働いている時っていうのは小児科医だったって訳だろ? んー、なんて聞いたらいいのかな? どんな風にしてたのかな? って思ってよ。 俺さ、お前が小児科医になってからっていうのはあまり知らないしさ」
「へ? どんな風にって!?」
「あ、やっぱ、そうなるよなぁ? んー、どんな一日を過ごしてたのかな? って……そういう事とかっていうのは、あの頃あまりにも忙しい過ぎて聞いた事なかっただろ?」
「せやな? 俺の場合には診察時間っていうのは午前中が多かったんかな? あ、そうそう! 俺の場合には小児科医は小児科医でも小児外科の方を選んでおったしな」
「へ? 小児科でも今は小児外科っていう分野があるのか!?」
「あ、まぁな。 今は小児科内科と小児外科で分けてあるんやって。 まぁ、診療所とかクリニックとかの場合には小児内科の方が多いと思うねんけどな。 せやけど、子供やって現代においては色々な病気もあるんやし、手術しなければならないような子供もおる訳やし、小児外科っいうが出来たんやって」
「……って、それじゃあ、俺と一緒じゃねぇか」
「それがちょいと違うんやなぁ。 大人の体っていうのはもう完成されてるもんやんか、でもな、子供の体っていうのはまだまだ完成されて無いんやって、何もかも未熟で内臓や足、それに脳やってまだまだ成長過程っていう訳やんか、せやから、毎回違って来る訳やしな。 身長も体重も伸びてくるし、ま、そこが大人と子供の違いなんかなぁ?」

 こう雄介と真面目に医者の話なんて聞いた事なかった俺は初めて小児科の話を聞いたような気がする。
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