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ー鼓動ー4

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「じゃあさぁ、そこは望が見に行って来た方がいいんじゃねぇのか?」

 そう和也に言われてしまった俺。

「だってさ、そこは寝てる奴を起こすのは可哀想なんじゃねぇ?」
「ま、それだったら確かにいいんだけどさ、ほら、雄介って、この前の船の転覆事故の時に死にかけてんだろ? なら、そこは一応、様子を見に行って来た方がいいんじゃないかと思ってよ。 もしかしたら? って事もあるだろうし、確かに、次の日には雄介はちゃんと帰還して来たけどよ。 急に調子悪くなるって事もあるだろうしさぁ」
「あ……」

 和也にそこまで言われて確かにと思ってしまった俺。

 そうだ。 確かに和也の言う通り、雄介は台風で荒れまくっていた海の中を漂って生きて帰って来てくれたのは嬉しいのだけど、あの後病院に行って検査してもらったとはまだ聞いてない。

 俺は和也の言う通り雄介の様子が気になってしまい、急いで部屋へと向かうのだ。

 俺達の部屋というのは、今さっきいたリビングの近くにある階段を上がってすぐ目の前にある部屋だ。

 俺は自分の部屋のドアを開けると部屋へと入って行く。

 確かさっき俺が部屋を出る前まで雄介はベッドで寝息を立てていた筈だ。 だからきっと今もベッドの上で寝息を立てているだろう。

 部屋に入って右手側に俺達が寝ているベッドがある。 そこに視線を向ける俺。

「あ……」

 未だに雄介は寝ているようだ。

 今の季節は夏なのだから、薄いタオルケットを掛けて寝ている。

 タオルケットというのは薄いもんだから、簡単に呼吸を繰り返しているのが分かる。

 雄介はこうリズム良く呼吸を繰り返し僅かにそのタオルケットが動く。

 俺はそこに安心したのか、ベッドへと近づきベッドの端へと腰を下ろすのだ。

 俺は雄介が未だに寝てる事をいい事に珍しく雄介の体へと触れてみた。

 ……手に温もりが伝わってきてる。 生きてるって証拠だよな。

 そして俺は更に安心したような瞳で雄介の事を見つめてたら、雄介は目覚めたのか俺の手を取って来た。

「へ? え? お前、起きてたのか?」
「今さっきな……」

 そう言って雄介は俺の手を取ったまま半身を起こすのだ。

 それと同時に雄介の視線と俺の視線がぶつかる。

 それに俺の方は体を固まらせてしまっていた。

 ……いや、違う。

 きっと久しぶりに雄介と視線が合ってしまい胸がドキッとしたからなのかもしれない。

「あ、あー、えっと……」

 俺は雄介から視線を外して何か言おうとしたのだが、こういう時に限って言葉っていうのは出てこない。 寧ろ俺の鼓動というのは先程より早くなって来てしまっていたのだから。

 そんな言葉が上手く出てこない中、雄介は自分の言いたい事が言えるタイプだからなのか、こうあっさりと言葉にして来てくれるのだ。

「なんや、今日は、望が俺の事起こしに来てくれたんか?」
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