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「触った感じ……ゴツゴツしてて、細長くて、ま、男性のモノにも似てるのかな?」

 そう半分惚けたように聞いてきているようにも思えるのだけど、聖修の場合、実際問題どうなんだろ? 本気で聞いてきているのか? 演技をしているのか? っていうのが分からない所だ。 だって聖修の場合には俳優もやったりして演技も出来る訳だしね。

   ……もう、そこまで言ってるなら分かるでしょーー! って、俺、それを隠す必要なかったって訳だよね。 ってか全くもって聖修に向かって静止した意味ないじゃん。

 ……そうそう、それは、俺がいつも使ってる玩具ですからーー!

 と心の中で叫ぶように突っ込んでいる俺。

「尚……これは? なーーに?」

 そう可愛く問うて来る聖修。

 ……それでも俺に答えを求めてくるんかーーい!

 って、お笑い芸人のようなツッコミを聖修にしてやりたい。 だけど聖修とは昨日会ったばっかりで、そんなツッコミなんてこと出来るわけもなく、その言葉はもれなく俺の心の中にしまわれてしまう。

「だから……それは……」

 俺は完全に聖修から視線を外して、それでもって小さな声で、

「お、玩具だよ……」

 と答える。

「ふーん……玩具なんだ……。 玩具って? どういう風に使うのかな?」

 聖修は布団の中に転がっていた、その玩具を取り出し、玩具を見つめながら問うて来るのだ。

「……って、ことは聖修って使ったことないの!?」
「だから、私は誰とも付き合ったことがないって言ってるでしょ……。 それに、ネコじゃないんだから、自分で使ったこともないしね……」

 どうやら聖修が言ってることは本当のようだ。 顔がニヤけたりはしていないのだから。 疑ってゴメン。 と心の中で呟きながら、

「でも、玩具だって、分かってたみたいだったけど……」
「そりゃ、知識的にはあるけど、実際には使ったことがないって言った方がいいのかな?」

 ……あ、そういうことか……。 人の言葉って難しいね……。 言葉1つで誤解を招いてしまうことだってあるんだからさ。 それで実際喧嘩になったりするんだからさーー。 って、確かに聖修の言葉に納得。

「……で、尚はこれ使ってるの?」
「……へ?」

   ……使ってるからここにあるんでしょ!

 って、またツッコミたくなるような言葉。 聖修ってボケの方なんですか?

「あ、いや……それは……そこにあるってことは使ってるって訳で……」
「だよね……。 じゃあ、使ってみていい?」
「でも、聖修って使ったことないんでしょ?」
「じゃ、尚が使って見せてくれる?」

 ……って、それって見事に自爆したんじゃね? あーーあーーそうですかーー! 聖修が使ったことがないとなると俺が使って見せないとダメなんですよねーー……。 って俺ってば完全な自爆だし!

「あ、いや……それは……恥ずかしいっていうのか……なんていうのか……って、今日は聖修が俺のこと気持ちよくさせてくれるんじゃないの?」

   ……うん! 自分でもいい提案! 心の中で手を叩きたくなった。

 だって、そうだろ? そう言えば、自分ではなく聖修にやってもらえるんだからさーー。

「あーー成る程ねーー」

 ほら、聖修だって納得してくれてるし。

「ほら、せっかく、2人でしてるんだから、玩具なんか頼らずに聖修が俺のこと気持ち良くさせてよーー」

 そう誤魔化すように甘えたように言ってみる俺。

「確かにそうだね……」
「それに、玩具なんていつでも使えるんだから……ね!」

 とりあえず俺は流石に玩具を使ってる姿を聖修に見せたくはないということから離れたかったから、そう提案したのだけど結局どっちにしろ恥ずかしい目に合うのは俺だった事を思い出す。
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