【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

【番外編】恋心は桜色5

　……そうだ！　きっと、そうなのかもしれない。

　恋をしてれば、ずっと心の中では桜色。

　人々はみんなそうなんだと思う。

　だから、みんな桜が咲くのを待ちわびているのだろう。

　ほらニュースでだって毎年、毎年、桜だけ取り上げて、今か今かと待ちわびているだろ？

　みんな好きだから……

　人々はみんな恋をしているから……

　だから、ずっと、みんな恋している間は桜色なのかもしれない。

　そして俺は誰もいないのを確認すると、桜の花びらを手にしている方の手を雄介の手の近くに持っていく。

　すると、それに気付いたのか、雄介がそっと俺の手を握り返してくれた。

　……俺が持っている桜の花びらに気付いてくれたかな？

　………俺はこの桜の花びらのように心はずっとピンク色。

　……だって、それはずっと雄介に恋しているから。

　その気持ちを伝えたくて雄介の手をそのまま握ったのだけどな。

　しかも桜の花びら一枚って、ハートの形にも似てねぇ？

　そう考えると桜の花びらって、恋の花なのかもしれない。

　花言葉は知らないけど、桜って、そういう意味にすると、もっともっと素敵な花なのかもしれねぇな。

　ずっとずっと、この桜の花びらのようにピンク色の心を持って……

　ずっとずっと、この桜の花びらのようなハートの形の恋心を持って……

　ずっとずっと、いつまでも桜の花びらが心の中で咲けますように……。

END