【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

〜11〜

「裕実……今どんな感じなんだ？」
「やぁ……え？」

　その和也からの質問に顔だけを和也の方へと向ける。

　そんなに素直で可愛い裕実の姿に、和也が気付かない訳がないだろう。

　今二人は視線が合い、幸せそうな表情をしているのだから。

　だが視線が合ってしまった裕実からすれば、急に恥ずかしくなってしまったのであろう。　和也から視線を離してしまうのだから。

　そんな裕実に和也はクスリとする。

「ホント、お前って、可愛いのな……」

　本当に和也からしてみたら裕実という存在は愛おしいのであろう。

「……で、どんな感じなんだ？」

　そしてもう一度聞いてみる和也。　そこは意地悪でなのか、それとも本当にもう一度聞いてみたかったのか？　っていうのは分からない所だ。

　しかも裕実の耳によく聞こえるように裕実の耳側で聞いているのだから、もう裕実の方は惚ける事は出来ないだろう。

「ぁ……気持ちいいですよ……？」

　甘えた声のような、甘えるような声で答える裕実。　だけど裕実の場合には元から気持ち的に高い声をしているのだから余計にそう聞こえているのかもしれない。

「それは、感想だろ？　んー、なんていうのかなぁ？　どんな風に気持ちいいのか？　っていうのを具体的に……って事かな？」

　意地悪なのか、普通に聞きたいのか、もっとより良く聞きたいのか、和也は裕実にそう言うのだ。

「ぁ……和也にそうしてもらえているから、本当に気持ちいいだけですってばぁ……」

　そう和也の方へと視線を向けて答える裕実は、こう和也の角度からしてみたら上目遣いで、こういう事をしているのだから、瞳は当然潤っているのだから、和也からしてみたら、本当に胸キュンもんだろう。　だからなのか和也は一瞬目を見開いた位なのだから。

「ふぅ……」

　と和也は軽く息を吐くと、

「ホント、お前って、可愛いよなぁ。　もう、ホント、俺の方が我慢出来なくなっちまう位だぜ……もう、俺の心を鷲掴みっていうの？　ならさ、何かやって欲しい事あるか？」

　何やら和也は裕実に優しくしているようにも思えるのだが、全くもって違うように思えてしまうのは気のせいであろうか。　なんというのか下心丸見えの状態で裕実にそんな質問をしているのだから。　やはりそこはSな和也の性格が垣間見得ている所なのかもしれない。

「……やって欲しい事って……？」

　その和也の質問をオウム返しし考えている裕実。

　考えていると今の和也の意図が分かってしまったのか、裕実は思わず体を起こし頬を膨らませると、和也の胸の辺りを叩いたのだから。