上 下
1,929 / 2,140

ー希望ー83

しおりを挟む
「寝れば大丈夫やと思うで、やっぱ、打撲程度やったみたいやなぁ? とりあえずな、まさか、ヘリが墜落するとは思ってなかったな」
「一応、天候が悪ければ飛ばさないんだけどさ、今日は晴天だったから、大丈夫だとは思ってたんだけどな」
「なんか、一瞬だけ突風に煽られた感じがして、気付いたら、ヘリが横転してたって訳や、それで、裕実は怪我しとるし、ヘリの無線機は壊れてしもうたみたいやし、ついでに俺が持ってた電話も壊れてもうたし、ヘリが墜落した場所が上にも助け呼べへんようなところやし……せやから、患者さん背負って病院連れて行った方が早いって思うて行ったのはええねんけど……まだ、春坂市の土地勘がなくてな近くにあった民家で電話借りて、救急車呼んで、そいで、春坂病院に来たって訳や」
「体力的にも今日は大変だったんだな。 そりゃ、早く休んだ方が良さそうだな」
「何言うてんねん……言うとくけど、体力の方は全然大丈夫やって……」

 雄介はそう言うと、望の体を抱き締める。

「ちょ、お前なぁ、ヤりたいとか言うんじゃないんだろうな?」
「いいや……全く下心無しで望のことこうしたって思っただけや。 流石に体力が有り余ってるからって、今日はお前んこと抱くって思ってへんから安心して……」
「例え、そんなこと言ってもやらせる気はサラサラねぇけどな。 俺が今日は許さねぇしよ」
「せやから、そういう気はないって……今はこうしておりたいだけやから」

 望のことを抱き締める手は望の服が皺になる位握られていた。

 そんな雄介に気付く望。

「どうした?   やっぱり、まだ、頭痛いのか?」

 望は頭だけを起こし雄介のことを覗き込む。

「頭はとりあえず大丈夫なんやけど……」
「なんだけど?」

 雄介は何かを言うのか言わないのかとしているのか言葉を詰まらせている。

「何だ?   恋人の俺にも言えないことなのか?」
「そういう訳やないんやけどな……なんやろ?   何か俺の弱い部分を見せてまうみたいで言うか言わないか迷ってるんだけやって……」
「弱い部分?   ……そっか……お前にもそんなところがあったんだな。 でもさ……恋人同士なんだから、そういうとこも曝け出してもいいんじゃないか?」

 望はそこで言葉を一旦切ると、雄介の方へと体を向き直した途端、雄介はゆっくりと語り始める。

「せやな……もしかしたら、望と恋人になったから久しぶりに死への恐怖っていうのが来たからなのかもしれへんな。 って言うても悪い意味っていう訳ではないで……」

 そりゃあ、今となっては望だって分かってる。 だが望としてはこう上手くそれを口にして表現出来ないっていう所なのかもしれない。

「確かに患者さんと背負って山を下山している時っていうのは全くもってそういった恐怖みたいなのは無かったんやけどな。 だけど……こう下山して来て、安心した途端に怖くなったっていうんかな? 特にヘリポートで一人で望達の事を待ってる時になぁ」

 そう淡々とさっき雄介が言っていた自分の弱い部分の事について話して来てくれている事について真面目に聞いているようだ。 いや確かに普段から雄介の話については真面目に聞いてはいるのだが、普段よりもという表現の方が合っているのかもしれない。

 そう雄介は自分の弱い部分を話ししているようで、とは言うのだが、望からしてみたら全然弱い部分としては聞いてないのかもしれない。 だが、それが例え弱い部分だとしても、そこで恋人として別れてしまうのなら逆に自分が雄介の恋人として失格なのかもしれない。 だから逆に望は雄介の話を真剣に聞いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

出産は一番の快楽

及川雨音
BL
出産するのが快感の出産フェチな両性具有総受け話。 とにかく出産が好きすぎて出産出産言いまくってます。出産がゲシュタルト崩壊気味。 【注意事項】 *受けは出産したいだけなので、相手や産まれた子どもに興味はないです。 *寝取られ(NTR)属性持ち攻め有りの複数ヤンデレ攻め *倫理観・道徳観・貞操観が皆無、不謹慎注意 *軽く出産シーン有り *ボテ腹、母乳、アクメ、授乳、女性器、おっぱい描写有り 続編) *近親相姦・母子相姦要素有り *奇形発言注意 *カニバリズム発言有り

淫紋付けたら逆襲!!巨根絶倫種付けでメス奴隷に堕とされる悪魔ちゃん♂

朝井染両
BL
お久しぶりです! ご飯を二日食べずに寝ていたら、身体が生きようとしてエロ小説が書き終わりました。人間って不思議ですね。 こういう間抜けな受けが好きなんだと思います。可愛いね~ばかだね~可愛いね~と大切にしてあげたいですね。 合意のようで合意ではないのでお気をつけ下さい。幸せラブラブエンドなのでご安心下さい。 ご飯食べます。

肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?

こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。 自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。 ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?

クソザコ乳首くんの出張アクメ

BL
おさわりOK♡の家事代行サービスで働くようになった、ベロキス大好きむっつりヤンキー系ツン男子のクソザコ乳首くんが、出張先のどすけべおぢさんの家で乳首穴開き体操着でセクハラ責めされ、とことんクソザコアクメさせられる話。他腋嗅ぎ、マイクロビキニなど。フィクションとしてライトにお楽しみください。 ネタの一部はお友達からご提供いただきました。ありがとうございました! pixiv/ムーンライトノベルズにも同作品を投稿しています。 なにかありましたら(web拍手)  http://bit.ly/38kXFb0 Twitter垢・拍手返信はこちらから https://twitter.com/show1write

ある宅配便のお兄さんの話

てんつぶ
BL
宅配便のお兄さん(モブ)×淫乱平凡DKのNTR。 ひたすらえっちなことだけしているお話です。 諸々タグ御確認の上、お好きな方どうぞ~。 ※こちらを原作としたシチュエーション&BLドラマボイスを公開しています。

とろとろ【R18短編集】

ちまこ。
BL
ねっとり、じっくりと。 とろとろにされてます。 喘ぎ声は可愛いめ。 乳首責め多めの作品集です。

勇者よ、わしの尻より魔王を倒せ………「魔王なんかより陛下の尻だ!」

ミクリ21
BL
変態勇者に陛下は困ります。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

処理中です...