【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー決心ー101

「望の言う通りだな。　雄介の人を助けたいって気持ち、俺にだってすっげー、分かるけどよ。　独り身なら、自分を犠牲にしてまで人を助けてもいいけどさ、今は大事な恋人が居るんだから心配を掛けねぇ方がいいんじゃねぇのか?　望だって、お前が怪我していなきゃ、救助することを許してくれたかもしれねぇが、お前は怪我している訳だからなぁ」
「そういうことだな」
「ほな、力がありそうな人を探して、上からは引き上げてもらって、下から多少押し上げる人が居れば、何人かは助かる訳やな？」
「まぁ、多分、怪我していない人は半分以上いるから、その人達は全員脱出させちまった方がいいかもな」
「せやな……」

　雄介は立ち上がると、乗客に説明し怪我をしていない人達を大人から子供まで雄介が割った窓から脱出させていく。

　こういう事故に巻き込まれたりした時、人は他人とか関係無しに助け合いの心が芽生えるのか、我先にと助かりたいという人間はおらず、まずは女性や子供を先に助ける作業をし、自力で上がれる人間は上がっていっていた。

　そして今は雄介達の他に怪我人だけが残っている状態になっていた。

「ま、これで、後は水が上がって来る前に救助に来てくれるのを待つだけやな」
「そうだな」

　少し安心したような望達。　でも水がゆっくりと上がって来ているのは間違いない。　後は時間の問題であろう。

「とりあえず、俺は大丈夫かもしれないけどさぁ。　裕実のとこは大丈夫なのかなぁ？」
「どうだろうな?」
「望ー、そのPHSでさぁ、新城と連絡取ってくれねぇ?   別に裕実の様子を聞くって感じじゃなくてもいいんだけど、あっちの様子を聞いて欲しいんだけど……そうすりゃあ、新城のことだから、何の為に望が新城に電話してきたか?   って気付くだろうしな。　アイツって、そういうとこ勘が鋭いしな」
「そうだな。　和也も心配するような恋人がいるんだもんな。　でも、新城は別に悪い奴ではねぇと思うんだけどなぁ」
「望にしてみたら、悪い奴じゃねぇかもしれねぇけど……俺からしてみたら新城はトラウマなだけなの」