上 下
1,486 / 2,140

ー天使ー41

しおりを挟む
ってさ……だけど、俺は辞めとけって言ったんだよな。 アイツ、俺と働きたいってだけで医者か看護師で迷ってたし、そんな動機だけなら止めてくれって言ったんだ。 俺達の仕事は患者さんの命を守る仕事なんだから、そんな動機だけで働いてもらっても困るってな」
「まぁ、確かにそうだけどさ、今の状況なら、雄介にやってもらった方がいいんじゃねぇか? 望と俺と裕実……いい関係の中に他の奴を入れたくねぇんじゃね?」
「まぁ、そうなんだけどさ」

 望は意味深にそう言うとある場所で足を止める。

「なぁ、和也……ちょっと、そこで待っててくれねぇ? あ、別に先に自分の家に帰っててもいいけどさ」
「……へ? あ、ああ」

 和也は望にそう言われて辺りを見回すと、そこは外科病棟のフロアであった。

「望! もしかして、雄介のお姉さんのとこに行って来るのか?」
「ああ、まぁな。 確かに雄介のお姉さんだからって特別扱いはしたくはねぇけどさ、琉斗のお母さんでもあるからな……やっぱり、気になってさ」
「望が言ってる意味が分かるような気がするわぁ。 じゃあ、俺も行く!」
「そっか……じゃあ、行こうぜ」

 二人はそう決めると雄介のお姉さんが病室へと向かう。

「でもさぁ、何で雄介のお姉さんのとこに行くんだ? まさか、お前……望と雄介の関係を話すって訳じゃねぇよな?」
「まさか……そんなことは言わねぇよ。 世間的に考えて、そんなこと言える訳ねぇだろ。 そのことは流石に言えねぇよ。 そんなことを言って、精神的ダメージを受けたら、どうすんだよ……今後に響くだろ?」
「んー、ならさぁ、行かねぇ方がいいんじゃねぇか? 余計なことを話さない為にさ」
「そっか……確かにそうだよな。 雄介のお姉さんのとこには回診とかの時だけの方がいいか」
「そういうことだよ。 とりあえず、今日は帰ろうぜ」
「ああ、そうだな」

 二人は今日、雄介のお姉さんの所に行くのは諦め駐車場へと向かう。

 その途中、和也は歩みを止め望に声を掛ける。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました

白兪
BL
前世で妹がプレイしていた乙女ゲーム「君とユニバース」に転生してしまったアース。 攻略対象者ってことはイケメンだし将来も安泰じゃん!と喜ぶが、アースは人気最下位キャラ。あんまりパッとするところがないアースだが、気がついたら王太子の婚約者になっていた…。 なんとか友達に戻ろうとする主人公と離そうとしない激甘王太子の攻防はいかに!? ゆっくり書き進めていこうと思います。拙い文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。

Lara
BL
ベーコンレタスと王道をこよなく愛する腐男子高校二年生神崎 椿(16歳)は王道学園の王道生徒会に紛れてチャラ男会計を演じていた。 校内の監視カメラをハッキングして観察し、(犯罪です) 生徒間でできたカップルをストーカーしてニヤニヤし、(犯罪です) 生徒会の人たちの会話やじゃれあいで妄想する。(既に末期) そんな平和(?)な日々を送っていた彼。 だが、待望の王道転校生が入学式の一週間後に転校してきて、それは崩れ去った。 周りの生徒会の人々は(一人を除いて)王道転校生――以下、王道クン――に付き纏い、 それを見た親衛隊の人々は暴走し、 それに反抗した王道クンが暴れまわり、 学園は滅茶苦茶になる。 椿はどうにかしたくとも、膨大な量の仕事に追われ、にっちもさっちもいかない。忙しくてBLの観察ができない。時間がなくてご飯もあまり食べず、睡眠の時間を削ることになる。 溜まりに溜まったストレスについに爆発した椿は…!? 「よし、あいつら……潰すか(黒笑)」 ※上のようには物語は流れ……ないと、お、お、思います(汗) ※シリアス君がものすごく出てくるようにしたいというか、勝手に出てくると思います。 小説家になろうのムーンライトノベルズ、エブリスタにて投稿! 完結しました。後日談……だす、かも?

必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)
BL
たとえ、君が覚えていなくても。たとえ、僕がすべてを忘れてしまっても。それでもまた、君に会いに行こう。きっと、きっと…… 帯刀を許された武士である弥生は宴の席で美しい面差しを持ちながら人形のようである〝ゆきや〟に出会い、彼を自分の屋敷へ引き取った。 生きる事、愛されること、あらゆる感情を教え込んだ時、雪也は弥生の屋敷から出て小さな庵に住まうことになる。 そこに集まったのは、雪也と同じ人の愛情に餓えた者たちだった。 そして彼らを見守る弥生たちにも、時代の変化は襲い掛かり……。 もう一度会いに行こう。時を超え、時代を超えて。 「男子大学生たちの愉快なルームシェア」に出てくる彼らの過去のお話です。詳しくはタグをご覧くださいませ!

【完結】魔法薬師の恋の行方

つくも茄子
BL
魔法薬研究所で働くノアは、ある日、恋人の父親である侯爵に呼び出された。何故か若い美人の女性も同席していた。「彼女は息子の子供を妊娠している。息子とは別れてくれ」という寝耳に水の展開に驚く。というより、何故そんな重要な話を親と浮気相手にされるのか?胎ました本人は何処だ?!この事にノアの家族も職場の同僚も大激怒。数日後に現れた恋人のライアンは「あの女とは結婚しない」と言うではないか。どうせ、男の自分には彼と家族になどなれない。ネガティブ思考に陥ったノアが自分の殻に閉じこもっている間に世間を巻き込んだ泥沼のスキャンダルが展開されていく。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

処理中です...