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ー過去ー77
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現に望だって仕事以外の時には親にタメ口なのだから。
「お前って、やっぱ、躾がいい家で育てられたんだな」
そう望の方は何気無しに言ったつもりだったのだが、その望の言葉に裕実の方は膝の上に置いていた手で膝を握り、
「そ、そんなんじゃ、ないんですよ」
「……へ?」
望が予想したような言葉とは違っていたのであろう。 その裕実の言葉に望は声を裏返す。
「それって、どういう意味だ?」
「あ、いや……あの……」
どうやら、その事について裕実の方はこう何か言いづらそうにしているのだから。
「もしかして、お前って家族でも何かあったとか?」
望は話の流れ的にそう裕実に問い続ける。
きっと和也ならここで話を切り返してくるのであろうが、どうやら望にはそんな事は出来なかったらしい。 それに裕実の心の奥底にある事なら引き出しておいた方がいいからとでも思ったからであろう。
「あ! 望さん! そうなんですよ! そう! 僕の家は厳しかったので、敬語だったんですからね」
先程とは違い顔を上げて大きな声で言う裕実。 だが作り笑顔をしていて何か隠し事をしているのはバレバレである。
「別に……そういうとこ隠さなくてもいいんだぜ。 俺達なら、相談には乗ってやるんだしな」
望からしてみたら優しさでそう言ったつもりだったのだが、裕実からしてみたら流れがそうなっていくのはマズいようにも思える。 折角、今、何とか望を誤魔化すために顔を上げたのに、それが駄目となってくると、裕実の方は逆に辛いようだ。
「本当にそうなんですよ」
「でもな……顔が違うって言ってんだよなぁ」
裕実の方は再び頭を俯かせると、
「望さん……ゴメンなさい。 和也に隠している事と今望さんが僕に問うて来ている事については一緒みたいなもんですから、そこはまだ言えないって言った方がいいですかね?」
そう言う裕実。 そこまで言えば流石の望も気付くだろう。 そして、その事について裕実はどれだけ口が硬いのであろうか。
望は裕実のその言葉でやっと分かったのかもしれない。 一瞬だけ目を丸くしたもののひと息だけ吐くと、
「分かった……。 ゴメンな……和也に言う前に俺がそれについて聞こうとしてさ。 でも、まさか、その話と一致してるとは思ってなかったからよ。 その事は、和也と実琴の事がきっちり片付いた時には言うんだろ? 俺達なら、何を話されても友達を裏切るような事はしないから安心してくれよな」
そう望にしては珍しく裕実の肩を軽く二回ほど叩くのだ。
裕実は望より一つ下で望からしてみたら、ある意味、弟みたいな存在なのかもしれない。
「お前って、やっぱ、躾がいい家で育てられたんだな」
そう望の方は何気無しに言ったつもりだったのだが、その望の言葉に裕実の方は膝の上に置いていた手で膝を握り、
「そ、そんなんじゃ、ないんですよ」
「……へ?」
望が予想したような言葉とは違っていたのであろう。 その裕実の言葉に望は声を裏返す。
「それって、どういう意味だ?」
「あ、いや……あの……」
どうやら、その事について裕実の方はこう何か言いづらそうにしているのだから。
「もしかして、お前って家族でも何かあったとか?」
望は話の流れ的にそう裕実に問い続ける。
きっと和也ならここで話を切り返してくるのであろうが、どうやら望にはそんな事は出来なかったらしい。 それに裕実の心の奥底にある事なら引き出しておいた方がいいからとでも思ったからであろう。
「あ! 望さん! そうなんですよ! そう! 僕の家は厳しかったので、敬語だったんですからね」
先程とは違い顔を上げて大きな声で言う裕実。 だが作り笑顔をしていて何か隠し事をしているのはバレバレである。
「別に……そういうとこ隠さなくてもいいんだぜ。 俺達なら、相談には乗ってやるんだしな」
望からしてみたら優しさでそう言ったつもりだったのだが、裕実からしてみたら流れがそうなっていくのはマズいようにも思える。 折角、今、何とか望を誤魔化すために顔を上げたのに、それが駄目となってくると、裕実の方は逆に辛いようだ。
「本当にそうなんですよ」
「でもな……顔が違うって言ってんだよなぁ」
裕実の方は再び頭を俯かせると、
「望さん……ゴメンなさい。 和也に隠している事と今望さんが僕に問うて来ている事については一緒みたいなもんですから、そこはまだ言えないって言った方がいいですかね?」
そう言う裕実。 そこまで言えば流石の望も気付くだろう。 そして、その事について裕実はどれだけ口が硬いのであろうか。
望は裕実のその言葉でやっと分かったのかもしれない。 一瞬だけ目を丸くしたもののひと息だけ吐くと、
「分かった……。 ゴメンな……和也に言う前に俺がそれについて聞こうとしてさ。 でも、まさか、その話と一致してるとは思ってなかったからよ。 その事は、和也と実琴の事がきっちり片付いた時には言うんだろ? 俺達なら、何を話されても友達を裏切るような事はしないから安心してくれよな」
そう望にしては珍しく裕実の肩を軽く二回ほど叩くのだ。
裕実は望より一つ下で望からしてみたら、ある意味、弟みたいな存在なのかもしれない。
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