【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー過去ー69

　一旦、雄介は言葉を切ると、

「俺が言うてた事気にすんなや。　ただ単に思わず言ってもうた言葉やしな。　その……和也達は帰って来てからご飯作るんやし、そこはなぁ、作ってくれているだけでも感謝しなぁアカンとこやしな」
「でもさ、雄介の言う通りでもあるのかな？　とも思ってたよ。　だから、今日はちゃんと作ることにしたからよ」
「気にすんなよって言うたやんか」
「今日はただ単に俺が名誉挽回の為に手の込んだ料理を作りたいんだよ。　いつも望に料理作ってやるときにはさ。　焼きそばとか手を抜いた料理だったし、俺が料理出来るとこ見せてやりたいだけだからさ」

　そう和也の方は気合を入れるような声を出し、何故だかそこで洋服の袖を捲り上げるのだ。

「そういう事な。　まぁ、ほんなら今度っからは無理はすんなや」
「ああ、無理しない程度に作るよ」
「よろしくな。　ほな、そろそろ俺の方は行くな」
「ああ、頑張って来いよ！」

　和也はいつものように元気な声で雄介に向かって手を振る。

「さて、俺も行くか？」
「そうだな」
「家まで歩きだけど、文句はねぇよなぁ？」

　そうふざけて言う和也に望の方は呆れたような息を吐くと、

「車はお前が持っていっちまったったんだから当たり前だろー」
「じゃあ、行くか？」
「ああ……」

　そう言うと、三人は歩き出しスーパーに向けて歩き始める。

「これで、俺達が雄介と望の間に入らなくて済みそうになったな」
「まぁな……って、和也、それってどういう意味だ！？」
「そのまんまの意味なんだけどなぁ。　もしさ、雄介と望が暫く喧嘩してるのなら、明日、裕実と考えていた事があったんだよ。　それが必要無くなったって事かな？　な、裕実」

　望と話をしていた和也だったのだが、最終的には裕実の方に話を振る。

「そうですね。　ちゃんと二人共反省していたみたいだったので今回の事は良かったですよ」
「そうだな」

　二人は笑顔で嬉しそうな顔をしていたのだが、望はまだ納得いってないような表情をしている。

「だから、それはいいとして、和也……それはどういう意味だって聞いてんだけどな」

　和也はその望の言葉のひと息吐くと、

「まぁ、別に隠す必要もねぇんだけど。　明日は仕事が終わってから裕実が望と食事に行って、俺は雄介の所に行って、喧嘩した原因とか、また、望と雄介が仲良くなるにはってのを話す予定だったんだよ」
「そんな事する予定だったのかぁ。　んー、でも、確かに一回位は裕実と一緒に食事してみたいもんかな？」