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ー海上ー84

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 望は裕実にそう言われると大きなため息を漏らすのだ。

「あー、分かってるよ……お前の言う通り、俺も雄介の事が心配は心配なんだよ。 だけど、俺の性格が邪魔してるっていうのかな? ああ、まぁ、体が動いてくれねぇっていうのかな? つくづく自分の性格が嫌な性格だって思ってくるぜ」

 そうは言ってるものの望は自分に気合いを入れて立ち上がる。

 その望の様子に裕実の方はクスリとすると、

「好きな人に捧げるパワーっていうのは違いますよね?」

 望は裕実のその言葉に笑顔を向ける。

「まぁな……」

 きっと、これが和也なら望はそう簡単に動く訳ないのだが何でか裕実がそういうと望という人物は結構普通に動き出すのかもしれない。

「では、望さん! 二人の事を探しに行きましょう!」
「ああ……」

 裕実の方は先に部屋を出ると望の方もほぼ一緒に部屋を出る。

「もう、流石にお風呂場からは上がってますよねぇ?」
「そうだな。 もし、出てなかったら流石に逆上せちまうだろうしな?」
「二人が行く場所って何処か思いつきます?」
「んー……」

 と望は手を顎に当てて考えていると望の目の前に『こちらに卓球場あります』という看板が目に入ってきたようだ。

「卓球場は?」
「あの二人ならあり得そうですよねぇ? 行ってみましょう!」

 裕実は望の意見に同意すると看板に書いてある通りにその方向へと向かうのだ。 だが、そこには雄介どころか客も誰一人いない。

「いませんでしたね」
「あの二人ならここにいると思ったんだけどなぁ?」
「ですよね。 こういう所に来たら『温泉って言ったら卓球だろー!』とかって言ってそうですもんね。 でも、予想は外れちゃいましたね」
「ああ、俺もそう思ったんだけどなぁ」

 二人はそう言いながら卓球場を後にする。

「後は何処にいると思います?」
「そだな……」

 と再び望の方は考えてみるのだが、もう他に思い付く場所がないようだ。

「んー、卓球場以外であの二人がいそうな場所ってもう思い浮かばないんだよなぁ?」
「もし、望さんが和也達と同じ立場なら何処に行きます?」
「雄介達と同じ立場かぁ」

 望はその裕実の言葉に答えるかのようにもし自分がこうなってしまった場合、何処に行くか? を考えているようだ。
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