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ー海上ー48
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よくもそんな恥ずかしい言葉をいとも簡単に言ってしまう和也に望はため息を吐く。
「よく、そんな簡単にそんな事をお前は言えるよな?」
「当たり前じゃねぇか。 好きなのは好きなんだからさ」
「好きっていう言葉は分かるけどさ、愛してるっていう言葉は好きよりも上の言葉だと思うんだけど、だからなんていうのかな? やっぱ、愛してるって言葉というのはそう簡単に言っちゃいけないって感じがするんだよな。 あ、まぁ……つまりは、ここぞっていう時に使うっていうのかな?」
望の方はそう真剣に言ったつもりだったのだが和也の方はそういう風に言う望にニヤケたような表情を向けていた。
「まさか、望にそんな事言われるとは思ってなかったぜ。 望も相当、雄介の事が好きなんだな。 で、望はまだ雄介に好きって言葉は言った事はあるけど、愛してるって言葉は言った事がないって事なんだよな? しかし、意外だよな、望が雄介に好きだとは言ってるってことがさ」
和也の方は腕を組んで未だに望の言葉にクスクスとしているようだ。
一方、望は自分が言いたい事を思い出したのであろうか。 再び顔を真っ赤にしていた。
「あー、もー! 和也はどこまで俺の言葉を上手く拾うのかな?」
「拾ってるっていうのか、自分が言ってるんだろ?」
和也は一旦、間を開けると真剣な顔をして望の方へと体を顔を向ける。
「あのな、マジで言葉って大事なもんなんだぜ。 そりゃ、当たり前な事なのかもしれねぇけど、言葉一つで人の事を傷付ける事は簡単だし、励ます事だって出来る。 どんな時にどんな言葉を使うかで、相手に色々な影響を与えてしまう事になるんだからな。 だから、本当に雄介の事が好きなら、たまには好きだって言葉も必要なんだって言ってんだ。 人間、言葉に出さない限りは相手に想いが伝わらないって事だろ? 望がそういつまでも雄介に何も言わないでいたら、雄介だって寂しい思いをすることになるんだと思うぜ」
「だから、『好き』とはたまに言ってるから」
「それは本当か?」
和也の方は望に向かって疑いの目を向けるのだが望の方はそんな和也に気付いたのか真剣な瞳で、
「それは今では言うようにしてるからな」
和也のその真剣な望の瞳に安心したのか車のシートへと背中を預けると、
「望って本気で雄介の事が好きなんだな。 まぁ、それが聞けて俺の方も安心出来たっていうのかな? よくよく考えてみたらさ、やっぱ、俺と望が付き合わなくて良かったんじゃねぇのかな? って思うよ。 だってさ、俺とお前が付き合ったとしても、なんか望に『好き』って言われそうもなかったしな。 ん、まぁ、望は少なくとも雄介と付き合い出してからは変わってきてる感じがするよな。 それに、俺と付き合ったりしても、望の事ここまで変える事が出来なかったのかもしれねぇしなぁ」
「よく、そんな簡単にそんな事をお前は言えるよな?」
「当たり前じゃねぇか。 好きなのは好きなんだからさ」
「好きっていう言葉は分かるけどさ、愛してるっていう言葉は好きよりも上の言葉だと思うんだけど、だからなんていうのかな? やっぱ、愛してるって言葉というのはそう簡単に言っちゃいけないって感じがするんだよな。 あ、まぁ……つまりは、ここぞっていう時に使うっていうのかな?」
望の方はそう真剣に言ったつもりだったのだが和也の方はそういう風に言う望にニヤケたような表情を向けていた。
「まさか、望にそんな事言われるとは思ってなかったぜ。 望も相当、雄介の事が好きなんだな。 で、望はまだ雄介に好きって言葉は言った事はあるけど、愛してるって言葉は言った事がないって事なんだよな? しかし、意外だよな、望が雄介に好きだとは言ってるってことがさ」
和也の方は腕を組んで未だに望の言葉にクスクスとしているようだ。
一方、望は自分が言いたい事を思い出したのであろうか。 再び顔を真っ赤にしていた。
「あー、もー! 和也はどこまで俺の言葉を上手く拾うのかな?」
「拾ってるっていうのか、自分が言ってるんだろ?」
和也は一旦、間を開けると真剣な顔をして望の方へと体を顔を向ける。
「あのな、マジで言葉って大事なもんなんだぜ。 そりゃ、当たり前な事なのかもしれねぇけど、言葉一つで人の事を傷付ける事は簡単だし、励ます事だって出来る。 どんな時にどんな言葉を使うかで、相手に色々な影響を与えてしまう事になるんだからな。 だから、本当に雄介の事が好きなら、たまには好きだって言葉も必要なんだって言ってんだ。 人間、言葉に出さない限りは相手に想いが伝わらないって事だろ? 望がそういつまでも雄介に何も言わないでいたら、雄介だって寂しい思いをすることになるんだと思うぜ」
「だから、『好き』とはたまに言ってるから」
「それは本当か?」
和也の方は望に向かって疑いの目を向けるのだが望の方はそんな和也に気付いたのか真剣な瞳で、
「それは今では言うようにしてるからな」
和也のその真剣な望の瞳に安心したのか車のシートへと背中を預けると、
「望って本気で雄介の事が好きなんだな。 まぁ、それが聞けて俺の方も安心出来たっていうのかな? よくよく考えてみたらさ、やっぱ、俺と望が付き合わなくて良かったんじゃねぇのかな? って思うよ。 だってさ、俺とお前が付き合ったとしても、なんか望に『好き』って言われそうもなかったしな。 ん、まぁ、望は少なくとも雄介と付き合い出してからは変わってきてる感じがするよな。 それに、俺と付き合ったりしても、望の事ここまで変える事が出来なかったのかもしれねぇしなぁ」
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