【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー海上ー6

　最近知った近くにある商店街。

　この商店街は、こう昔ながらの商店街でタイムスリップしたような心温まるような商店街だ。　もう雄介はこの辺の商店街は顔馴染みにもなってきている。

「おっちゃん！　今日は何が安いん？」
「そうだなぁ、玉ねぎとか人参とかかな？」
「ほな、今日はカレーに決まりやな！」
「そういう事だよ……お客さん！」
「ほな、玉ねぎと人参とジャガイモな」

　そういつものように買物を済ませると雄介は家へと向かうのだ。

　だが雄介が家に帰宅してくると人の気配が全くしない。　しかももう暗いのに家の中には灯りとかも全く無い状態でもある。

　そう先程、望は帰宅してきているのにも関わらず全く部屋には人の気配がないという事だ。

　雄介が玄関のドアを開けても部屋内は本当に誰もいないかのようにシンと静まり返っている。

「望の奴……どっかに行ってもうたんやろか？」

　そう雄介は一人ブツブツと言いながらキッチンへと足を運ぶ。

「せやけど、さっき駐車場見た時には望の車あったしなぁ？　望って外に行くとしたら絶対に車使うし」

　雄介はそんな事を考えながら夕飯の支度を始める。

　しかし前の望の家よりも小さくなった一軒家なのに望の気配が全くしないのはやはりおかしな所でもある。　まさか雄介が家を出て行ったのを知っていて雄介の後を付いて家を出たのであろうか？　それで、その事について望の事だから雄介に知られたくなくて家の中に入れないでいるのであろうか？

　雄介は料理をしながらそんな事を考えてしまう。

　とりあえず雄介は夕飯の支度を終えると二階の寝室の方へと向かうのだ。

　まずは部屋内を探してから外の方へと探しに行った方がいいのかもしれないと思ったからなのかもしれない。

　雄介はゆっくりと階段を上がって寝室の方へと向かう。

　雄介は寝室の前まで来ると寝室へと通じるドアを開ける。

　だが、この部屋にも望の気配は無いような気がする。　電気だって点いていないのだから。

　そう今の時間は窓から差し込んでくる月明かりだけが頼りになってくる。

　雄介は電気のスイッチを入れようとした時ベッドの上で何かが動いたような気がした。

　雄介はその動きに自分の体をピタリと止めると静寂に包まれている部屋内からは寝息だけが聞こえて来たのだ。