【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー波乱ー79

　それから、数日後。

　裕実と颯斗はコンビを組んで一緒の部屋になってしまった。　ただ部屋の方は和也の頼みで隣の部屋のしてもらったようなのだが。

　朝、和也が出勤してきて和也の隣に車を止めている颯斗の車は既にあった。　その後、和也が部屋に向かうと颯斗が部屋にいなくホッとした反面、今日からは颯斗と裕実が一緒の部屋だという事を思い出す。

「何か、嫌な感じだな？」
「何、朝から辛気臭い顔してんだよ。　ちゃんと気持ち入れ替えろよ！」

　そう望は和也に気合を入れるように言うと和也はその望の一言で立ち上がり、

「分かってるからっ！」

　と自分に気合いを入れるように笑顔になるとロッカールームへと消えていく。

　それからはいつものように仕事をこなす望と和也。

　和也は朝、自分に気合いを入れてからはいつもと変わらない仕事をこなしていた。

　いつものように和也は最後の部屋の掃除を終わらせると直ぐにロッカールームへと向かい裕実にメールを入れる。

　丁度、その頃、和也の隣の部屋でその和也からのメールを受け取った裕実。

　その返事をした後に同室にいる颯斗が誰かと電話をしているようだ。

「はい……今日は本宮さんと無事に仕事を済ませましたよ。　本宮さんは流石ですね……計画ですか？　まぁ、思った通りって所ですかね？　ま、今度……ちゃんと報告させていただきますよ。　では、失礼したします」

　いつも以上に丁寧な口調で話をしていた颯斗。

　それを聞いていた裕実は違和感を感じているようだ。

　颯斗はそう丁寧な敬語を使うような人物とは？　颯斗が前に働いていた病院関係者からであろうか？　そして、もう一つ気になったのは『計画』という言葉だ。　やはり、まだ和也の事を引く抜く話をしているという事なんだろうか？


　裕実はそこも気になる所なのだが、その会話を聞いただけでは何を話しているのかが分からない状態だ。

　裕実は私服に着替えると、颯斗に向かい、

「お疲れ様でした」

　と言い部屋を出て行く。　それとほぼ同時に隣から出てきた和也と顔を合わせるのだ。

　明日は仕事が休みで、二人とも、いつも以上に笑顔だったのかもしれない。