【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー雪山ー109

　レジに向かっても人がたえる事はなかった。

　和也はレジに並びながら時計の方に視線を向けると当初思っていた時間よりオーバーしていた事に気付く。

　最初は十分位で買物を済ませようとしていたのだが、その時間を遥かに越えていたようだ。

　人を待たせている時に限ってそういうものなのかもしれない。

　そうだ。　一人で行動しているのなら時間なんか気にしないのであろうが相手を待たせているからこそ時間が気になっているのかもしれない。

　レジに並んでもう五分位は経ってしまってもいる。

　和也はいつも愛用している時計と睨めっこしながらレジの順番を待っていた。

　それから、やっと一分後位に順番が回って来るのだ。

　会計を済ませて品物を袋の中へとしまっていると、突然、誰かに声を掛けられた和也。

「あのー間違っていたらスイマセン……春坂病院の方ですよね？」

　そう和也は声を掛けられて声がした方へと振り向くと、そこには背の高い男性の姿があった。

　和也はその男性の方に視線を向けると顔をゆっくりと上げていくと、その人物には見覚えがあったようだ。

「あー！　新城颯斗さん？」
「私の事、覚えて下さっていたのですね」
「まぁ、私の担当の方でしたしね」
「こんな所で出会えるなんて奇遇ですよね」
「はぁ……まぁ……」