【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー空間ー150

「お前等は俺達の言う事を聞けねぇっていうんなら、やっぱ、痛い目に遭わせてやらねぇとなんねぇようだな！」

　そう犯人は静かに言うと雄介との距離までが約三mまでと近付いて来た。

　すると、その犯人は上着の内ポケットの中に手を突っ込み次に手を出した瞬間、雄介から何か光るものが見えたような気がした。　しかも蛍光灯の光りで反射したようにも思える。

「え？　な、何！？」

　雄介がそう思っている頃にはもう速すぎて犯人が所持している何かしらの武器みたいな物が雄介の左腕を掠り洋服と皮膚へと気持ち傷がつく。

　今は上手く交わしたという事もあってか、どうにか擦り傷程度で済んだのだが、もし交わしていなかったら？　と思うと本当に今のは危なかったのかもしれない。

　そう犯人だって雄介の事を殺すつもりで向かって来ているのだから。

　犯人の方は雄介にそれを交わされて舌打ちをする。　そして、もう一度、足を踏み込んで来ると雄介へと向かって来る。

　その一瞬で雄介が見た犯人の武器は鉄製のナイフではなかった。　蛍光灯の光りに反射しているくらいなのだから金属探知機でもすり抜ける事の出来るガラス製で出来た物だ。　それを加工し先端を尖らせたナイフのような物だ。

　雄介は犯人が持っているナイフの動きを見ながら雄介の胸の辺りを狙ってくる犯人の腕を叩き、そのナイフを落とす。　とそのナイフが床に落ちる音が機内へと響き渡った。

　そして雄介は床に落ちたナイフらしき物を左手の方に蹴って避けるのだ。

「これで、終わりやな」

　これで雄介の方は優勢かと思われたのだが、その直後、雄介の後方から低い声が聞こえて来た。

「お前……何もんだ！？　サツの人間か！？」

　その声に反応して雄介は振り向くと、先程、雄介がトイレ倒したと思われた犯人が望の首に腕を回して望に危害を加えようとしている所が目に入ってきた。

　それを見た雄介は戦うのを諦めたかのように腕を下へと下げるのだ。

　そう先程、トイレで倒したと思われた犯人に望を人質に取られてしまったのだから。

　雄介としてはあれだけのダメージを受けて居れば暫くは大丈夫かと思われたのだが、どうやら復活するのにそんなに時間はかからなかったようだ。

　望を犯人に人質に取られて雄介の顔は普通ではない。　寧ろ真っ青な顔をし額からは汗も滲んできている。

　きっと背中にも冷たい汗が流れてしまっているだろう。

　雄介がその望と犯人の姿に呆然としていたのだが、それがいけなかったのであろうか。　犯人からしてみたら今の雄介は完全に無防備で隙がある。　だからなのか今さっき雄介と戦っていた犯人が雄介の後ろでガラスのナイフを持って今にも雄介を刺そうとしていたらしいのだが、

「止めろ……」

　ともう一人の犯人が静止を求められ、とりあえず雄介はやられずに済むのだ。