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ー空間ー122

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「ぅん……まぁ……望がそういう気持ちなら良かったわぁ」

 そう雄介はそう安心したように呟く。 そして望も細い体を抱き締めるのだ。

 暫くの間、そうしていたのだが、どうやら和也達がお風呂から上がって来たらしく、

「風呂いいぜ……俺達の方はもう終わったからさ」
「おう……ああ、せやな」

 雄介は望の手を取ると望と一緒に脱衣所の方へと向かう。

「……って、おい!」

 望はさっき雄介には素直な気持ちを伝えたい筈だったのに、もう既にその事を忘れてしまったのか。 脱衣所へと着くと直ぐに雄介の手を離してしまう。

「あのなぁ、さっき、俺の前では素直に俺の事好きって言うてくれたやんか……ほんで、何で? そうやって行動してまうん?」
「え? あ、まぁ……それは……その……そこのところは俺にもまだ良く分からねぇんだよ。 雄介が一人だったら、何となくだけど、素直になれてきてるように思えるんだけどさ、こう他に人がいると、いつもに俺に戻っちまうっていうのか、まだ、俺には上手く出来ねぇっていうのか……と、とりあえず……っ!」

 そこまで言うと望は雄介の方に向かって顔を上げ、

「俺は本当に本当にお前の事は好きだ。 それだけは、分かってくれねぇかな?」

 そう雄介に告げると雄介は望の額へとキスをする。

「ぅん……まぁ……望やったら、そこまでが限界なんかな? ほな、俺の前だけでも素直になってくれたらええしな」

 雄介は望に笑顔を向ける。

 その言葉に言い返せなくなるというのか安心したというのかこう心の中が温かくなるような言葉に望の方も安心したのか、

「分かった。 なら、お前といる時にはなるべくそうするようにするよ」

 顔を俯かせながらも答える望。

 その望の言葉に雄介は望の頭をポンポンと撫でるのだ。

 そして二人は脱衣所で洋服を脱ぐのだが、先に洋服を脱いだのは雄介の方だ。

 望は人前で服を脱ぐという事に関しては慣れてはいない。 いつも着替える時だって和也は看護師用の制服に着替えるのだが、望の場合にはスーツのジャケットを脱いで白衣を着るだけなのだから本当に今は人前で着替える事がないからなのかもしれない。 だが、多分、恋人である雄介だからこそ余計に恥ずかしいのかもしれない。 いや着替える云々ではなく人前で裸になるからこそ恥ずかしいのであろう。

 望は時間稼ぎの為かゆっくりとボタンを外していく。

 素直になると言ってもこれだけは別だ。

 さっきは心を雄介に暴かれてしまったのだが、今は体の方を暴く番だ。 精神と体とで暴かれるのなら、どちらも似たような事だろう。

 そりゃ、望は雄介になら何回も体を見られているのだが、そこは何回やったって恥ずかしいのは変わりない。

「望、まだか?」
「あ、ああ……もうちょい」

 そうは言うもののなかなかシャツのボタンが外せないでいる望。

「しゃーないなぁ」

 雄介はそう言うと既に一度湯船に浸かっていたのだが寒いのを我慢してまで望が洋服を脱がしに出てくる。 そして、いきなり望の洋服のボタンを外し始めるのだ。

「ぁ……」

 望はフッと小さな声を上げる。

「……何?」

 望のシャツのボタンを外していた雄介はその望の小さな声を耳側で聞いていた。

「あ……いや……なんでもねぇ」

 望がこうして口籠る時には何かに対して焦っているという事だろう。 いや人間誰しも言葉を詰まる事や口籠る時には焦ったりしているのは一目瞭然だ。

「あー、いやぁ?」
「脱ぎ終わったで」
「あ、ああ……おう……」

 まさか、雄介に服を脱いでもらうとは思ってなかったのであろう。 きっと望の中では「自分でやるからいい!」とでも言いたかったのかもしれないのだが、さっき雄介と素直になると約束したばかりだったのだから、どうにか誤魔化していたのかもしれない。

 こう雄介に脱いでもらったのはいいのだが、今度は体の方が思うように動かないでいる望。

 これからやる事に関する緊張と雄介と一緒にお風呂に入るという緊張とが余計に望を緊張させてしまっているのであろう。

「望……?」
「あ、ああ……おう……何だ?」
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