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ー記憶ー102

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 雄介は考えを巡らせるのだが、一向に頭から言葉は浮かばず視線も宙へと漂わせてしまっている状態だ。

 そんな時、先にを開いたのは望の方だ。

「なぁ、お前って何者なんだ? ずっと、俺の所に来ててさぁ、俺からしてみたら意味分からねぇんだけど?」

 何だか怒っているような望の声と言葉に雄介はため息混じりのような息を吐く。

「せやなぁ」

 雄介はその言葉で望へと視線を合わせ笑顔を向けると、

「お前の従兄弟かな?」

 一昨日、雄介はお風呂に浸かっている時に考えた答えはそれだった。

 そう望と一緒に暮らすという苦肉の策が『従兄弟』。

 望には、そう伝えておいた方が望の側に居られるかもしれないと思ったからだ。

 いや雄介の中では今直ぐにでも望には『恋人』だったという事は伝えたい。 だけど記憶のない望に男の恋人がいたという事はよくないと思ったのだから、そこは言わないようにしたようだ。 それに雄介の存在だって記憶喪失のせいでないのだから、やはりそこは望との関係は従兄弟という関係が一番いいと思ったからであろう。 流石に兄弟という事を伝えるには、あまりにも似なさ過ぎる。 だから、そこは従兄弟がいいのかもしれないと思ったからだ。

 それが吉と出るかのか? 凶と出るのか?

 それは、これからの事だ。

「あぁー! そっか! 従兄弟だったのかー!」

 と望の方は雄介の言葉になんも疑いもなく、どうやら従兄弟という関係は受け入れてくれたようだ。

 どうにか、これで望に近付けたような気がした雄介。 そこにホッと胸を撫で下ろしたのは言うまでもないだろう。
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