【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー記憶ー3

　その雄介からのメールに望は溜息を漏らす。

　もしかしたら「仕方ないだろ。　俺達は忙しい仕事をしてるんだから」とでも思っているのかもしれない。

『ホント、暇がある時にな。　だってさ、お前と非番が合う日が少ないからさ。　そりゃ、俺だってたまにはお前と会いたいと思ってるんだからよ』

　望は雄介にメールした後に再び大きなため息を吐くのだ。

　久し振りの恋人からのメールで嬉しい筈なのに、それと同時に寂しさが込み上げてきたのかもしれない。

　今まで連絡がなくて既に半分以上恋人の存在を忘れていた筈なのに恋人からメールに恋人の存在を思い出してしまったのであろう。　だからなのか余計に恋人に会いたいという気持ちが大きくなってしまったようだ。

　恋人からのメールに再び望はため息を吐いていると、

『今日、今から空いてへんか？　明日は休みやから、食事でもどうかな？　って思うたんやけど』

「……へ？」

　そのメールの内容に望は思わず声を出す。　今までため息を吐いてたのが嘘みたいにその恋人からの言葉に目の前がクリアになったようだ。　現に望は目を見開いてしまったのだから。

　そりゃ、好きな相手からのお誘いメールなのだから嬉しさで声が出てしまうのは当たり前の事だ。　例え明日、自分が休みじゃなくても恋人からのお誘いに断る訳がない。

『ああ、俺も休みだし、いいぜ』

　いつも仕事を終えた後は流石に疲れたような表情をしていたのだが今日の望は違った。　恋人からのお誘いメールに今までの疲れが吹っ飛んだようだ。

　そんな望の様子に和也は部屋の掃除をしながら、

「なーんだ……その緩みっぱなしの顔はさ。　まさか、恋人からのお誘いメールが来たとか？」

　和也はそうニヤニヤとした表情をしながら肘で望のお腹を突く。

「え？　あ、うるせぇなぁ」

　和也が言った言葉が図星だったのであろう。　望の表情からはにやけた顔がおさまることはなかった。

　確かに恋人からのメールというのは嬉しくて仕方がない。

　だが流石の望も和也にはそんな自分を見せたくなかったのだが、どうしてもにやけた顔は抑えられなかったようだ。　そうそうガッツリとその嬉しさが表情に出てしまっていたのだから。　だが何故だか望は和也に対して誤魔化したい気持ちがあるようで、

「ほらほら、さっさと仕事を終わらせて帰るぞ！」