【1/完結】ノンケだった俺が男と初体験〜ツンデレ君には甘いハチミツを〜

ー友情ー55

　和也は望が座っている椅子に近付いて捕まえようとするのだが、望は椅子を動かして交わすのだ。

「遠慮なんかしなくていいからさー……。　腰、痛いんだろ？」
「ま、確かに痛いは痛いけどさ」
「明日に差し支えるぞ」
「じゃあ、痛め止めの薬でいいから、腰揉んでもらうよりそっちの方が効きも早いしな」
「はい……」

　今まで二人でふざけあっていたのだが、望のその言葉でそのやりとりは終止符が打たれる。　和也の方はその望の言葉で薬を取りに行ってくれたようだ。

「はいよ！」
「ああ」

　和也から薬と水を受け取るとそれを口にする望。

　そして今日一日本当に何もなかったようで、そのまま一日を終えるのだ。



　次の日、面会時間が開始された時刻。　和也と望がいつものように回診で病棟内を回っていると雄介の病室の前に立っている男がいる。

「アイツって！？」

　と二人同時に声をあげ視線を合わせる和也と望。

　その男は雄介の病室の前に立ち雄介の病室へと入ろうとしているようなのだが、なかなか中へと入る気配はない。　たまにドアのとってに手をかけ病室の中に入ろうとはしているのだが、ドアノブを離しては頭を振ったりしている。

　和也と望はその人物の存在に気付くと、そっとその男の前へと近づき、

「桜井さんのお見舞いに来たんでしょう？　中に入らないんですか？」

　いきなり和也に声を掛けられて、その男はそっから立ち去ろうとしたのだが、その男性の手首を和也はしっかりと掴み、

「きっと、桜井さんは貴方が来てくれるの待っていたと思いますよ。　ずっと、桜井さんは貴方の事、気にしてましたからね。　貴方が一人で病室に入れないのなら、俺達も一緒に入りますから」