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ー友情ー13

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「ああ! それは無理やり、あの患者さんが俺の事出てけって言ったんだろ? だから、俺がここにいるのは別にいいんじゃねぇのか?」
「あ、ああ、まぁ、確かにそうだけどさ。 ま、とりあえず、部屋に戻ろうぜ」

 とりあえず望は和也には桜井に告白された事をとりあえず和也には相談せずに何も触れないように歩き始める。



 望は部屋に戻ってからは溜まっていた資料やカルテの整理を一人済ませると望は気分転換とばかりにふらりと部屋を出て行き屋上へと足を向けるのだ。

 春になったばかりの夕方というのは白衣とシャツ一枚では少しばかり寒いと感じ、もう一枚羽織る物でも持ってくれば良かったと後悔している望。

「やっぱ、夕方はまだ寒かったか」

 そう一人屋上で呟いても、その言葉はただただ空気に消えていくだけだ。

 望は一人寒さに体を震わせながら屋上を囲むようにしてあるフェンスの向こう側を見つめると、少し遠くに見えるビルとビルの合間に夕日が見えるのだ。

 どうして夕日というのはこう切なくも悲しくも見えてしまうのであろうか。

 そして夕日を見ながら望はポケットに潜ませていたタバコへと火を付ける。

 普段、望は煙草を常備している訳ではない。 だがたまにこうして煙草を吸いたくなる時には隠れてでもないのだけどこう屋上へと足を向けて吸っている。

 そして煙と同時にため息も漏らす。

「男から告白されるなんて思ってなかったぜ」

 そう一人呟いていると急に屋上に繋がる扉が開かれた。

 そこに警戒する望。 フェンスの向こう側に沈む夕日を見つめていた望だったのだが、その瞬間、音がした方へと顔だけを向けるのだ。

 ここの屋上は安全の為に職員、職員と患者さんなら来てもいい所でもあるのだが夕方のこの時間にこの場所に来る人なんかほぼいない。 だから余計に警戒してしまったのであろう。

 しかし、この時間にいったい誰がここに来たのであろうか。

 誰かの見舞客が迷ってここに来たのか?

 望はその開けられた扉を凝視してしまう。

 だが、その直後、聞き慣れた声が聴こえて来た。

「望……。 やっぱ、ここに居たんだな」

 そう望の名前を呼んだのは和也だ。

 和也は望の事を見つけると笑顔で駆け寄ってくる。

「俺の思った通りってところか」
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