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58話
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私はモニター型魔道具のある部屋に向かうと、激昂しているウォルフと、モニターを楽し気に眺めているズビアの姿があった。
この2人は対極ね。
反応から何が起きているのか推測できるけど、とりあえずウォルフに聞こう。
「ウォルフ。ルドロス王とディオン達はどうしてる?」
モニターを眺めると、号泣しながら謝罪する集団の姿が、そこにはあった。
それを眺めて私が呆れていると、同じようにウォルフも呆れながら説明してくれる。
「森の入口で必死にエレナ様に対して謝罪と懇願をしています……どうやら聞いていることを把握しているようですが、あまりにも醜すぎる」
「その醜さが面白いんじゃないか。私が「エレナ様の命令だ」とつけ加えて命令すれば、何でも聞きそうな程に取り乱しています」
「絶対にやらないでね」
「エレナ様、冗談ですよ……もう関わりたくないことはわかっています」
ズビアに釘を刺すけど、冗談という発言とは裏腹に物凄く残念そうにしていた。
「もう見たくも聞きたくもないのですが、ライオスのことから何かしでかすかもしれない……そう考えると消せません」
ウォルフが苛立っている理由は、まだ何かしてくるのではないかと警戒しているからのようね。
「こうなることは解っていたはずなのに……どうして最初から謝罪をしなかったのでしょうか?」
ハロルドが疑問を口にすると、ズビアが返答する。
「実際に対面したら愚かにも謝りたくなくなったんだろうね……どの道断っていたとしても、最初の態度が原因じゃないかと後悔してて滑稽だよ」
この状況を一番楽しんでいるのは、間違いなくズビアね。
そのズビアにルドロス王達の監視を任せながら、私達はこれからのことを話す。
「この後は、間違いなくルドロス国は滅ぶけど……この森は大丈夫よ」
「ルドロス国は隣国に吸収される形となりそうでしょうか……ズビアが情報収集した限りだと、隣国は有望な冒険者を集めているようです」
異常事態を対処できなかったルドロス国は滅び、それを救った隣国に吸収される形となる。
隣国の協力要請という名の提案をルドロスは拒んでいるから、それを国民に伝えているらしい。
恐らくクーデターを起こさせ、ルドロス達を抹殺したいのでしょう。
実際はもっと色々なことがあるに違いないけど、流れ的にはこれで合っているはず。
「間違いなくルドロス国は終わりね……新たな国王が私達を受け入れてくれるかどうかだけど、どっちでも大丈夫よ」
その後――ルドロス王やディオン達は半日もの間謝罪と懇願をするも、無理だと悟ったのか帰っていく。
このまま日が経てば、ルドロス国は確実に滅ぶはず。
そう考えていたのに――数日経っても、ルドロス国は平和のままだった。
この2人は対極ね。
反応から何が起きているのか推測できるけど、とりあえずウォルフに聞こう。
「ウォルフ。ルドロス王とディオン達はどうしてる?」
モニターを眺めると、号泣しながら謝罪する集団の姿が、そこにはあった。
それを眺めて私が呆れていると、同じようにウォルフも呆れながら説明してくれる。
「森の入口で必死にエレナ様に対して謝罪と懇願をしています……どうやら聞いていることを把握しているようですが、あまりにも醜すぎる」
「その醜さが面白いんじゃないか。私が「エレナ様の命令だ」とつけ加えて命令すれば、何でも聞きそうな程に取り乱しています」
「絶対にやらないでね」
「エレナ様、冗談ですよ……もう関わりたくないことはわかっています」
ズビアに釘を刺すけど、冗談という発言とは裏腹に物凄く残念そうにしていた。
「もう見たくも聞きたくもないのですが、ライオスのことから何かしでかすかもしれない……そう考えると消せません」
ウォルフが苛立っている理由は、まだ何かしてくるのではないかと警戒しているからのようね。
「こうなることは解っていたはずなのに……どうして最初から謝罪をしなかったのでしょうか?」
ハロルドが疑問を口にすると、ズビアが返答する。
「実際に対面したら愚かにも謝りたくなくなったんだろうね……どの道断っていたとしても、最初の態度が原因じゃないかと後悔してて滑稽だよ」
この状況を一番楽しんでいるのは、間違いなくズビアね。
そのズビアにルドロス王達の監視を任せながら、私達はこれからのことを話す。
「この後は、間違いなくルドロス国は滅ぶけど……この森は大丈夫よ」
「ルドロス国は隣国に吸収される形となりそうでしょうか……ズビアが情報収集した限りだと、隣国は有望な冒険者を集めているようです」
異常事態を対処できなかったルドロス国は滅び、それを救った隣国に吸収される形となる。
隣国の協力要請という名の提案をルドロスは拒んでいるから、それを国民に伝えているらしい。
恐らくクーデターを起こさせ、ルドロス達を抹殺したいのでしょう。
実際はもっと色々なことがあるに違いないけど、流れ的にはこれで合っているはず。
「間違いなくルドロス国は終わりね……新たな国王が私達を受け入れてくれるかどうかだけど、どっちでも大丈夫よ」
その後――ルドロス王やディオン達は半日もの間謝罪と懇願をするも、無理だと悟ったのか帰っていく。
このまま日が経てば、ルドロス国は確実に滅ぶはず。
そう考えていたのに――数日経っても、ルドロス国は平和のままだった。
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