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21話 ディオン視点

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 騎士隊の報告を聞いて何をしても無理だと考えているも、宰相ライオスは告げる。

「私達はエレナを侮っていましたが、手の内を知ることができました……次こそはエレナを捕らえることができるでしょう!」

 ライオスの宣言を聞いて、王の間では歓声があがっている。

 ディオン含めて一部の貴族達は無理だと考えている中、ルドロス王がライオスを眺めて。

「次の策を聞こうではないか」

「はい……転移魔法はエレナが視認していなければ使えません。ならば認識させず捕らえればいいだけです」

「確かにそうだが、騎士隊の話では……到着した時に、家の前で待機されていたと聞いているぞ」

「恐らく森の中に入った時点で察知されていたのでしょう。暗躍部隊を使えば、気付かれることなく侵入できます」
 
 暗躍部隊――少数精鋭で、暗躍と呼ばれているも暗殺が主な集団。

 任務の成功率は高くて、確かにあの部隊なら勝算はあるとルドロス王は考えるも……ライオスに尋ねる。

「奴等を使うのか……万が一にも殺してしまうとマズいのだが……」

 強すぎるからこそ、エレナの捕獲を騎士隊に任せている。

 加減できずに命を絶ってしまえば最悪の結末が待っていて……そこにルドロス王が不安になっていると。

「その為に騎士隊を送りましたが返り討ちに合いました……それほどの強さなら、加減をしなくても捕獲することになるはずです」

 どうやら宰相ライオスは、騎士隊の敗北を想定していた様子だ。

 騎士隊を動かしたのは、暗躍部隊を動かすため……ルドロス王に言わなかったのは、騎士隊を早急に連れ戻そうとするからだと推測している。

 不可能だと騎士長が判断するまで諦めさせないことで、暗躍部隊を動かすしかない状況にした。

 それがライオスの考えだとわかってはいるも――今の状況だと、悠長な気がする。
 
 それを見通しているのか、ライオスはルドロス王に告げる。
 
「陛下……ここでの最善は暗躍部隊の導入です。騎士隊があそこまで追い詰められたからこそ、他の手段を考えず暗躍部隊を動かすことができました」

「そ、そうだな……しかし、もしこれが失敗したら……」

「その場合どうするべきかも考えておりますが、暗躍部隊なら必ず成果を出すと信じております」

 ライオスの発言を聞いて、ルドロス王も納得している。

 暗躍部隊は知られなければ脅威になるも――この会話内容は全て、エレナは魔道具を経由して聞くことができていた。
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