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9話
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ハロルドが家に住むことに賛成してくれたから、私は色々と準備をすることにしていた。
人手も欲しいし、再開の挨拶をしておきたいから……私は森に魔力を流す。
それだけで1頭の白い虎のウォルフと、小さくて可愛い黒いウサギのズビアが1羽やって来る。
彼等は私と契約しているこの森に住む動物で、会話をするために私は人化の魔法をフォルフとズビアに使う。
これは契約した状態なら人になれそうだと私が考案した魔法で、文献になかったから私以外の誰も使えない魔法だ。
そして――白く長い髪をオールバックにしている美青年と、目元が隠れた小柄な黒髪の美少年が現れて、私に膝をつき。
「お久しぶりです、エレナ様」
「私ズビアとウォルフは契約によりエレナ様と同調しているので、何があったのかは理解しています……ルドロス国を滅ぼしますか?」
白虎のウォルフは私の命令を常に待っているけど、黒兎のズビアは思考がちょっと怖い。
それでもウォルフは同じ気持ちのようで、立ち上がって頷きながら。
「我としてもルドロス国、特にエレナ様に無礼な口を利いたディオンとやらは潰すべきだと進言いたします」
「ウォルフとズビアの気持ちも解るけど、放置でいいわ」
こう言っておかないと、この2人は勝手に行動しそう。
激怒しているウォルフは見たままで、ズビアは微笑みながらも内心キレていそう。
私の方は契約で同調しているウォルフとズビアの感情が解らないのは、契約することでその主の状態が解るものなのかもしれない。
私が放置でいいと告げると、ズビアが頷いて。
「それもそうですね……この国は勝手に滅ぶでしょう。エレナ様が城の様子を確認しようとしているのも、それを見越してのことですね」
「えっ……そうなのですか?」
ズビアの発言にハロルドが驚いているから、私は説明する。
「出て行く前に、王の間や会議室に監視用の魔道具を設置したのよ……この家で、城内の様子を把握できるわ」
これは念のための準備で、ルドロス国がこれからどうなるのかを知るためだ。
新聖女リーノは使えないから、最初の行動としては私以外の別の聖女を探すはず。
もしくは私を引き戻そうとするかだけど、それはルドロス王のプライド次第ね。
何が起きてもおかしくないから、把握するために用意はしていた。
私はハロルド、契約獣で人の姿になったウォルフとズビアと共に、元の日常に戻るための準備をしていく。
その後、私が城を出てから4日が経ち――聖女の力を失ったルドロス国に、変化が起ころうとしていた。
人手も欲しいし、再開の挨拶をしておきたいから……私は森に魔力を流す。
それだけで1頭の白い虎のウォルフと、小さくて可愛い黒いウサギのズビアが1羽やって来る。
彼等は私と契約しているこの森に住む動物で、会話をするために私は人化の魔法をフォルフとズビアに使う。
これは契約した状態なら人になれそうだと私が考案した魔法で、文献になかったから私以外の誰も使えない魔法だ。
そして――白く長い髪をオールバックにしている美青年と、目元が隠れた小柄な黒髪の美少年が現れて、私に膝をつき。
「お久しぶりです、エレナ様」
「私ズビアとウォルフは契約によりエレナ様と同調しているので、何があったのかは理解しています……ルドロス国を滅ぼしますか?」
白虎のウォルフは私の命令を常に待っているけど、黒兎のズビアは思考がちょっと怖い。
それでもウォルフは同じ気持ちのようで、立ち上がって頷きながら。
「我としてもルドロス国、特にエレナ様に無礼な口を利いたディオンとやらは潰すべきだと進言いたします」
「ウォルフとズビアの気持ちも解るけど、放置でいいわ」
こう言っておかないと、この2人は勝手に行動しそう。
激怒しているウォルフは見たままで、ズビアは微笑みながらも内心キレていそう。
私の方は契約で同調しているウォルフとズビアの感情が解らないのは、契約することでその主の状態が解るものなのかもしれない。
私が放置でいいと告げると、ズビアが頷いて。
「それもそうですね……この国は勝手に滅ぶでしょう。エレナ様が城の様子を確認しようとしているのも、それを見越してのことですね」
「えっ……そうなのですか?」
ズビアの発言にハロルドが驚いているから、私は説明する。
「出て行く前に、王の間や会議室に監視用の魔道具を設置したのよ……この家で、城内の様子を把握できるわ」
これは念のための準備で、ルドロス国がこれからどうなるのかを知るためだ。
新聖女リーノは使えないから、最初の行動としては私以外の別の聖女を探すはず。
もしくは私を引き戻そうとするかだけど、それはルドロス王のプライド次第ね。
何が起きてもおかしくないから、把握するために用意はしていた。
私はハロルド、契約獣で人の姿になったウォルフとズビアと共に、元の日常に戻るための準備をしていく。
その後、私が城を出てから4日が経ち――聖女の力を失ったルドロス国に、変化が起ころうとしていた。
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