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71話

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 魔獣人――姿は確かにモンスターを取り込んだような外見だけど、顔はクイムのままだ。

 クイムは背中の翼を羽ばたかせるだけで膨大な風魔法による暴風を放ち、囮役だった3人の冒険者を吹き飛ばしている。

「彼等は、冒険者の中だと強い部類なんだがな」

「……今、翼による風魔法の攻撃を仕掛けた人、見覚えがあります」

「……なんだと?」

 前に剣を抜いたノーチスが前に出て、後衛の私が呟く。

 そしてクイムは、私を睨んで。

「まさかミレイユがこの場に居るとはな! 捕える命令なんざ関係ねぇ、この手で仕留めてやる!!」

 どうやら洗脳の魔道具は解けている様子で……それより、捕える命令を無視している?

 私が気になっていると、クイムの発言が続く。

「あの後、俺達は地獄を味わった……隊員の数人が命を落し、成功したのは俺含めて3人だけ――あ、あの方は悪魔だ」

 何か言い淀んだクイムが気になると、前からノーチスの声が聞こえる。

「発言の最中、あの男の首輪が光った。恐らく首輪をつけた者の名前を言いかけ、言えなかったのだろう」

 発言を制限するようだけど、どうしてクイムはそこまで喋るのだろうか?

 それが気になっていると、ノーチスが教えてくれる。

「どうやら魔獣人は人為的なもののようで、興奮状態になるのだろう……言いたいことを言わずにはいられない状態だ」

「その通りさ! 感情の高ぶりが抑えきれねぇ! トールズ魔道具店を潰すためならなんでもするぜ!!」

 叫んだと同時に、クイムが右腕を私達に向けて。

「行け!」

 そう言って……狼型のモンスターと同化したような2人、元探索隊の2人が私とノーチスに迫る。

 探索隊はもっと多かったのに、クイムの発言的に生き残ったのはこの2人とクイムだけなのでしょう。

 アイレス商会の行動に恐怖を覚えながらも……とにかく今は、この状況を打破するしかなかった。
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