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67話 フルディ視点

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 アイレスと名乗った青年は、圧倒的な強さで盗賊を撃退していた。

 それから船に乗り、人らしく生活ができるようになったフルディとミラーナは、アイレスと話をする。

 絶体絶命の状況で助けられ、衣食住の提供と護衛をしてくれているアイレスに対して、2人は信頼仕切っていた。

 フルディはミレイユのこと、兄ドルーダから受けた仕打ちを話すと、アイレスは思案した表情を浮かべて。

「話を聞く限り……フルディには女性に嫌われる呪いがかかっている可能性が高い」

「なっ……」

「そうでもしないと、君ほどの見た目で女性が避けるとは思えない……1ヶ月猶予を与えたのも、呪いを与えて苦しめるためだろう」

 確かに、隣国での女性の反応から、絶対におかしいとフルディは考えていた。

 呪いに関しては聞いたことがあり、まさかドルーダがそこまでするとは考えていないフルディは、ショックを受けるしかなかった。

「クソッ……どうすれば……」

「呪いを解除するにはドルーダに解除させるしかない……話を聞くに、ミレイユさえ人質にすれば、従わせることができるんじゃないかな」

 それはミラーナを人質にした時の話で、確かにその可能性は高い。

「それは、そうかもしれないが……あの女がどこに居るのかがわからない」

「俺は商会の長をしているんだけど、ラッセルという男と共に、トールズ魔道具店で楽しく暮らしているようだ」

「なっ……」

「楽しく、暮らしている……」

 フルディは唖然として、ミラーナは姉との差に苛立ちを覚えている。

 そんな2人を眺めて、アイレスは真剣な表情で。

「俺はトールズ魔道具店を潰したいと思っている……結果的に目的は同じ、協力して欲しい」

「協力……俺とミラーナでできることなど、限られているような気もするが……」

「重要なのはミレイユに敵意、殺意を抱いているという点だ……俺の魔道具を使ってラッセルを仕留め、ミレイユを捕らえよう」

「ミレイユを捕らえれば、ドルーダも俺に従うしかない……いいだろう!」

 フルディはドルーダに借りを返すため、アイレスに協力することを決意する。

 その選択がーー死ぬよりも悲惨な末路を辿ることを知るのは、後のこととなる。
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