婚約者の王子が危険すぎるから、奪おうと目論んでいた妹に譲ります

64話

　翌日――この日は休日で、リバイスがやって来ていた。

　リバイスが椅子に座って、テーブル越しに私、ラッセルと対面している。

「昨日ノーチスが来ていた辺り、要注意と認識されていることは聞いたようだね」

　いきなりリバイスがそんなことを言い出して、私が驚いていると、ラッセルが尋ねる。

「その通りだが……なぜ知っている？」

「冒険者ギルドと魔法協会も調査していたからね……昨日はトールズ魔道具店に向かっていたし、一緒に戦った仲だから推測した」

　リバイスはどれだけ調べているのだろうかと思うしかないけど、ラッセルは頷いて。

「俺は２つの巨大な組織から警戒されているようだな……首輪の魔道具を調査して欲しいと頼んでいたが、どうだった？」

「アイレス商会が作っている奴隷の首輪に似ているけど、性能が違うから証拠にはならない……アイレス商会を貶める他の組織の可能性があると思われるだろう」

　私達の魔道具と同じ……いいえ、きっとこれもアイレス商会の計算通りな気がする。

「あれからクイム達の調査をしたけど、アイレス商会に魔道具を失ったと説明していたようだ……もしかしたら、洗脳魔道具に気付いているのかもしれない」

　リバイスの発言で、私は硬直してしまう。

　どうして洗脳魔道具まで知っているのか……困惑していると、ラッセルがリバイスを睨んで。

「なぜ、そこまで知っている」

「知らなかったけど、今の反応で確信できた」

「あ……」

　リバイスとしては、クイム達の変化から察していたのかもしれない。

　確証はなかったから、私達を揺さぶった……この行動を見ていると、リバイスが色々と知っている理由がわかったような気がしていた。