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22話

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 船から降りて馬車に乗って数日経ち――昼過ぎに私達はケルクト国王都の近くにある都市フーラスに到着する。

 街外れに2階建ての大きな家があって、1階で魔道具店で2階は部屋になっていた。

 どうやら地下もあるみたいで……ここで魔道具の作成をするみたいだけど、使われていないのがよく解って、とりあえず私は掃除がしたい。

「これから俺は許可を貰いに行くけど、ミレイユはどうする?」

 ラッセルが尋ねているけど、私はやることが決まっていた。

「掃除をするわ」

「いや……それは俺も手伝うし、先に都市を見に行ってもいいと思うけど――」

「――掃除をするわ」

「わ、わかった……」

 掃除用具は準備しているみたいだけど、家から出ようとしているラッセルを見て。

「店を貸してくれるラッセルの友人には挨拶しておきたいけど、明日以降でもいいかしら?」

「今日俺が呼んでおくよ。今週中に行くって連絡してたし、その後に買物がてら都市を案内しよう」

「わかったわ」

 そう言ってラッセルは家を出て……私は掃除をしていく。

 こんな時に水魔法は便利で――意思で水を操作することで洗いながら汚れを取りつつ、操作できるから水浸しになることもない。

 冒険者になったら最初は掃除関連の依頼を受けると聞いていたから、水魔法の操作を今まで頑張ってきたけど……先生も驚いていた記憶がある。

 驚いたのを見た私はは調子が物凄くよかったことにして、成功しなくなったと演技をすることで納得してもらったけど、今は演技をする必要がない。

 時間が経ち、夕焼けが見えてきた頃に――1人の美青年を連れたラッセルが家に帰ってきて、2人は家の中を見て驚いていた。

「えっ……数時間しか経ってないけど、こんなに奇麗になるのか?」

「信じられないな……」

 2人が驚いているから、私が説明をする。

「水魔法の応用よ。2階と地下も奇麗にしておいたから」

 私が説明すると、ラッセルの友人が目を見開かせながら。

「2階と地下もか! いやぁ素晴らしいな……君を婚約者でなくしたフルディという男が、私には信じられないよ!」

 この人、ラッセルに店を貸している友人だとは聞いているけど……フルディとのことを知っている辺り、ラッセルはどこまで話したのだろう?

 顔に出ていたのか、ラッセルが私に言う。

「いや、俺はミレイユのことは手伝ってくれる協力者ってだけしか話してない……リバイス、なぜそのことを知っている?」

 どうやらこの人の名前はリバイスのようね。

 腰まで伸びた金髪を真ん中で分けた凛々しい美青年――リバイスは私に微笑みながら。

「調べたからさ……今フルディ王子、いやフルディ元王子は大変な目に合っているようだ」

 元王子ということは、あの後に問題を起こして、遂に処罰されたのでしょう。

 思ったより遥かに早いわね……何か理由があるのかもしれないけど、私には解らない。

「初耳だな」

 ラッセルが尋ねると、リバイスは頷いて。

「ミレイユと一緒に話した方がいいと思ったからだ。私が耳にしたのは一昨日だが、どうやら4日前にフルディは勘当されたらしい。遠い国のことだからそれだけしか知らないも、相当愚かな王子なのだろう」

 愚かというか、危険というか……愚かなのも事実ね。

 それにしても……第一王子の暗殺未遂で、勘当だけ?

 それは甘い気がしているけど、リバイスはあまり知らなそうだから、何が起きているのかは解らない。

 とにかく……もう私には関係ないことだから、フルディについてはもう忘れることに決めた。
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