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8話

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 あれから2週間後――私達マルーア家は城に呼び出されて、婚約者を私から妹のミラーナに変えることが正式に決まる。

 フルディ殿下がミラーナの提案を受け、私の両親が賛成し、学園内での私の評価が悪かったことを理由にすることで陛下達も納得している様子だった。

 証人になる人が大勢いて、その中にはドルーダ殿下の姿もある。

 ドルーダ殿下は遠い目をしながら、ミラーナを憐れむように眺めているのが気になっていた。

 気になったけど、もう私には関係ない……明日の夜会に発表すると決めたみたいだけど、そうなるように日程を調整したのは私だ。

 その日――夜会には行きたくないと言って屋敷を抜け出し、ラッセルから魔道具を貰って国を出よう。

 前から予想していたことだからラッセルと会う場所も決まっているし、問題はないはずだ。

 × × ×

 話し合いが終わって、私は1人城の廊下を眺めながら歩いていた。

 この景色を見るのも最後だと考えていると――私の目の前には、フルディ殿下が立っていた。

 これが……フルディ殿下と最後の会話になるでしょう。

 婚約者、いいえ、元婚約者だけど何も思わない。
 むしろ、ようやくフルディ殿下に悩まされることがないと、安堵もしている。

 そして――フルディ殿下は、私を蔑むように眺めて。

「俺の邪魔ばかりするお前と婚約したのが失敗だった……その点、お前の妹ミラーナは俺を溺愛している可愛い婚約者だ」

 それは貴方にとって可愛い婚約者だとは、この場では言わないでおく。

 余計な問題は起こしたくない……私は、フルディ殿下を横切って。

「今までありがとうございました――さようなら」

「ああ。もう婚約者ではないのだから、これからもう二度と俺の邪魔をするな」

「わかっています」

 もう二度と会わないのだから、フルディ殿下の邪魔にはならない。

 私にとっては最後の挨拶だけど、フルディ殿下にとっては学園でまた会うと思っているのでしょう。

 その後、私達マルーア一家は馬車に乗って城の外に出て――私は数年ぶりに、晴れやかな気分となっていた。 
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