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番外編
8話
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昨日で春休みが終わり、今日から新しい学年になる。
屋敷に泊まってくれたジリクが、部屋で私とウルルに冒険者ギルドからの報告を話していた。
「フロス達は故郷に戻れたようだ。これで何も気にすることなく、新年度を迎えることができる」
「ええ。ガデクを捕まえたことで、魔獣達を脅かす組織も潰れていくみたい」
『ガデクはそれほどまでに、人々に迷惑をかけていたんだね』
捕らえたガデクとその仲間は、世界でも最も危険な犯罪者達のようだ。
魔獣を狩っていた集団のトップがガデクで、尋問することで様々な情報が出ているらしい。
これから魔獣を捕獲したり道具扱いしていた組織は、冒険者ギルドの手で壊滅していくようだ。
「魔獣達にとって、暮らしやすい世界になれそうね」
「マーカスも魔道具で自白したらしい。ディアスにガデクを会わせた元凶のようだ」
どうやらガデクはディアスと関わる前に、マーカスに取り入ったようだ。
フロスの家族を人質にすることでマーカスと契約を結ばせ、成績がよくなっていく。
そしてガデクの命令を従順に聞き当時は王子だったディアスの取り巻きとなったから、ディアスと関わったことで成績が向上したと噂になっていたようだ。
フロスと契約したマーカスは、ガデクのために魔獣を捕えて道具扱いして貴族達に売っていた。
それはガデク達の利益となっていたようだけど、もう全て終わったことだ。
『フロスは、何も罪にならないんだよね?』
「家族を人質にされていたし、悪いのは全てガデクとマーカスだ。今では契約を解除して自由になっている」
「一番気になっていたけど、フロスは利用されていただけだから当然ね」
マーカスの命令だから、人を襲った後でもフロスは魔獣のままでモンスター扱いにはならない。
その分マーカスが重く処罰されることとなったようで、勘当を言い渡されて数年もの間は幽閉されて暮らすようだ。
話を終えて、私達は学園に登校する時間になっている。
緊張してしまうけど、ジリクが一緒だから問題ない。
「今日はウルルも登校する必要があるから、一緒に行こう」
「そうね。昨日ジリクと一緒に準備してきたから、大丈夫に決まってるわ!」
私はやる気に満ちて、ジリクと一緒にウルルの背中に乗って登校する。
不安は全て消え去ったから、晴れやかな気分で学園に向かっていた。
◇◆◇
私とジリクはウルルに乗って、草原を駆けていく。
新年度だから、学園としては神獣ウルルの紹介がしたいようだ。
神獣の主である私がウルルについて説明するけど、ジリクと話し合って言いたいことを調整してくれる。
昨日は屋敷に泊まり練習もできて、力になってくれるジリクが私と同じクラスなのも嬉しい。
「これからジリクと同じクラス。去年の今ごろなら、考えられなかったことね」
「実を言うと……私は去年の今ごろ、ライラの婚約者になれるのではないかと考えたことがある」
「そうなの?」
「ディアスの言動は知っていたし、神獣選定の儀の周期から可能性はあった。それでもありえないと考えていたけど、こうなって本当によかったと想っている」
ジリクは笑顔で話して、私とウルルも嬉しくなる。
私達は――これからも、幸せな生活を送ることができそうだ。
屋敷に泊まってくれたジリクが、部屋で私とウルルに冒険者ギルドからの報告を話していた。
「フロス達は故郷に戻れたようだ。これで何も気にすることなく、新年度を迎えることができる」
「ええ。ガデクを捕まえたことで、魔獣達を脅かす組織も潰れていくみたい」
『ガデクはそれほどまでに、人々に迷惑をかけていたんだね』
捕らえたガデクとその仲間は、世界でも最も危険な犯罪者達のようだ。
魔獣を狩っていた集団のトップがガデクで、尋問することで様々な情報が出ているらしい。
これから魔獣を捕獲したり道具扱いしていた組織は、冒険者ギルドの手で壊滅していくようだ。
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どうやらガデクはディアスと関わる前に、マーカスに取り入ったようだ。
フロスの家族を人質にすることでマーカスと契約を結ばせ、成績がよくなっていく。
そしてガデクの命令を従順に聞き当時は王子だったディアスの取り巻きとなったから、ディアスと関わったことで成績が向上したと噂になっていたようだ。
フロスと契約したマーカスは、ガデクのために魔獣を捕えて道具扱いして貴族達に売っていた。
それはガデク達の利益となっていたようだけど、もう全て終わったことだ。
『フロスは、何も罪にならないんだよね?』
「家族を人質にされていたし、悪いのは全てガデクとマーカスだ。今では契約を解除して自由になっている」
「一番気になっていたけど、フロスは利用されていただけだから当然ね」
マーカスの命令だから、人を襲った後でもフロスは魔獣のままでモンスター扱いにはならない。
その分マーカスが重く処罰されることとなったようで、勘当を言い渡されて数年もの間は幽閉されて暮らすようだ。
話を終えて、私達は学園に登校する時間になっている。
緊張してしまうけど、ジリクが一緒だから問題ない。
「今日はウルルも登校する必要があるから、一緒に行こう」
「そうね。昨日ジリクと一緒に準備してきたから、大丈夫に決まってるわ!」
私はやる気に満ちて、ジリクと一緒にウルルの背中に乗って登校する。
不安は全て消え去ったから、晴れやかな気分で学園に向かっていた。
◇◆◇
私とジリクはウルルに乗って、草原を駆けていく。
新年度だから、学園としては神獣ウルルの紹介がしたいようだ。
神獣の主である私がウルルについて説明するけど、ジリクと話し合って言いたいことを調整してくれる。
昨日は屋敷に泊まり練習もできて、力になってくれるジリクが私と同じクラスなのも嬉しい。
「これからジリクと同じクラス。去年の今ごろなら、考えられなかったことね」
「実を言うと……私は去年の今ごろ、ライラの婚約者になれるのではないかと考えたことがある」
「そうなの?」
「ディアスの言動は知っていたし、神獣選定の儀の周期から可能性はあった。それでもありえないと考えていたけど、こうなって本当によかったと想っている」
ジリクは笑顔で話して、私とウルルも嬉しくなる。
私達は――これからも、幸せな生活を送ることができそうだ。
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