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19話 提案する
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シルキー様が魔力を制御できないと知り、私の結界魔法なら力になれる。
提案することにしたけど、シルキー様とアルトは困惑していた。
1年以上も悩み続けていた問題を、今日屋敷に来たばかりの侍女が解決できるなんて信じられないのが普通の反応だと私も思う。
そんな中で、最初に声を出したのは足下にいるクロだった。
『……ミーシアは結界魔法を隠すって言ってなかったかい?』
「私は特殊な魔法が使えます。アルトが他言無用と言ったように、私の魔法も他言無用でお願いします」
『ミーシアが決めたことなら、僕が気にすることじゃないか』
私の発言を聞き納得してくれたようで、クロはソファの上で丸くなっている。
柔らかい感触が気に入ってそうで思わず背中を撫でながら、シルキー様とアルトの反応を待っていた。
「信じるわ。ここで嘘をつく理由がないもの!」
「それは、そうですが……ミーシアの魔法について、教えてもらうことはできますか?」
喜んでいるシルキー様と違い、アルトは納得できていない様子だ。
だからこそ私の魔法について知ってから判断したいようで、結界魔法について説明する。
「私の魔法は結界魔法と呼ばれています。シルキー様、アルトで試していいですか?」
「それは……アルト、どうかしら?」
「むしろシルキーに使う前に私が体感するべきなので、その方がいいでしょう」
私と同じ考えを話したアルトが頷き、ソファから立ち上がる。
結界魔法は室内で使っても問題ないし、シルキー様の部屋は広い。
対面した私が手を向けることでアルトの周囲に小さい結界を張ると、影響を実感したようだ。
「これは……周囲に見えない壁のようなものがあり、私は全方向をその壁に囲まれています。その中にいると力が溢れていると実感できました」
「私は今アルトの周囲に結界を張り、強化するようにしています。そして結界からは出られない状態です」
「出られないって、解除できますよね!?」
「アルトがここまで取り乱しているのは珍しいわ」
「何をしても出られる気がしませんから恐怖ですよ!」
見えない壁のような結界の端を何度も叩き、アルトを焦らせてしまう。
叩くのを終えた後にシルキー様が結界に触れながら驚いていたから、私は結界に手を向けて魔力を与える。
結界の設定を変えることにより、アルトは出られないけどシルキー様が行き来できるようにした。
そして結界の中で効力を実感できたシルキー様は、驚きながらも嬉しそうに微笑む。
「これは凄いわね。結界が弾くモノと通れるモノは自由に決められるということかしら?」
「結界の設定変更は干渉されている時はできないので、自由というわけではありません」
「私が叩いていた時は、結界の効力を変更することができなかったということですか……これで、シルキーの魔力を制御できるのですか?」
「はい。これから結界の中でシルキー様を徐々に強化していけば、暴走する魔力に慣れることができるはずです」
聖女だった時は国全土に結界を張っていたから使えなかったけど、解除した今だからこそ使える魔力の強化方法だ。
シルキー様はミリザと違い私の結界を受け入れているから、問題なく魔力を制御できそうだ。
提案することにしたけど、シルキー様とアルトは困惑していた。
1年以上も悩み続けていた問題を、今日屋敷に来たばかりの侍女が解決できるなんて信じられないのが普通の反応だと私も思う。
そんな中で、最初に声を出したのは足下にいるクロだった。
『……ミーシアは結界魔法を隠すって言ってなかったかい?』
「私は特殊な魔法が使えます。アルトが他言無用と言ったように、私の魔法も他言無用でお願いします」
『ミーシアが決めたことなら、僕が気にすることじゃないか』
私の発言を聞き納得してくれたようで、クロはソファの上で丸くなっている。
柔らかい感触が気に入ってそうで思わず背中を撫でながら、シルキー様とアルトの反応を待っていた。
「信じるわ。ここで嘘をつく理由がないもの!」
「それは、そうですが……ミーシアの魔法について、教えてもらうことはできますか?」
喜んでいるシルキー様と違い、アルトは納得できていない様子だ。
だからこそ私の魔法について知ってから判断したいようで、結界魔法について説明する。
「私の魔法は結界魔法と呼ばれています。シルキー様、アルトで試していいですか?」
「それは……アルト、どうかしら?」
「むしろシルキーに使う前に私が体感するべきなので、その方がいいでしょう」
私と同じ考えを話したアルトが頷き、ソファから立ち上がる。
結界魔法は室内で使っても問題ないし、シルキー様の部屋は広い。
対面した私が手を向けることでアルトの周囲に小さい結界を張ると、影響を実感したようだ。
「これは……周囲に見えない壁のようなものがあり、私は全方向をその壁に囲まれています。その中にいると力が溢れていると実感できました」
「私は今アルトの周囲に結界を張り、強化するようにしています。そして結界からは出られない状態です」
「出られないって、解除できますよね!?」
「アルトがここまで取り乱しているのは珍しいわ」
「何をしても出られる気がしませんから恐怖ですよ!」
見えない壁のような結界の端を何度も叩き、アルトを焦らせてしまう。
叩くのを終えた後にシルキー様が結界に触れながら驚いていたから、私は結界に手を向けて魔力を与える。
結界の設定を変えることにより、アルトは出られないけどシルキー様が行き来できるようにした。
そして結界の中で効力を実感できたシルキー様は、驚きながらも嬉しそうに微笑む。
「これは凄いわね。結界が弾くモノと通れるモノは自由に決められるということかしら?」
「結界の設定変更は干渉されている時はできないので、自由というわけではありません」
「私が叩いていた時は、結界の効力を変更することができなかったということですか……これで、シルキーの魔力を制御できるのですか?」
「はい。これから結界の中でシルキー様を徐々に強化していけば、暴走する魔力に慣れることができるはずです」
聖女だった時は国全土に結界を張っていたから使えなかったけど、解除した今だからこそ使える魔力の強化方法だ。
シルキー様はミリザと違い私の結界を受け入れているから、問題なく魔力を制御できそうだ。
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