騎士になれない人に婚約を破棄された私は騎士になりました

8話

　私が試験に合格して１年が経ち、今日は騎士試験の日となっている。

　今回も私はヨシュアと一緒に試験管をすることとなり、試験会場にナドクの姿はない。

　試験を眺めながら、この半年でナドクに起きた出来事を思い出す。

　前試験の暴走で騎士試験を出禁となり、それにより評判が下がったことでキャサリンと婚約を破棄している。

　暴言や暴力から原因がナドクなのは間違いなくて、伯爵家同士が争ったせいかナドクは行方不明になったらしい。

　消されたと推測することができてしまうけど、もう関係のない私は調べようと思わなかった。

　騎士試験は無事に終わり、私は隣にいるヨシュアと試験会場の広場を眺めている。

「もう私が騎士になってから１年が経ちましたか……私と一緒に合格した人は、丁度１年で辞めたみたいですね」

「元騎士という扱いになるからだろう……ルミナは辞めるとか言わないよな？」

「言いませんよ。ヨシュアの傍で働けている今が一番幸せです」

　この１年間の功績で騎士長となれたけど、私がヨシュアの傍にいたいことを伝えている。

　それはヨシュアも同じだったようで、副長という扱いになり、私は傍にいることができた。

　立場的には隊長と同じ地位があるからと、私はヨシュアを様付けにすることを止めている。

「俺も同じだ……初めてここでルミナと会ってから、試験ではなく俺とラギドを観察していたルミナに興味があった」

「もしかしたらあの時からルドクを後悔させるより、私は騎士長の元で働きたかったのかもしれません」

　最初は後悔させることで目的で、そんな私が騎士試験を受けていいのだろうかと悩んでしまう。

　その後ヨシュアと出会えて、傍で働ける今が嬉しい。

　これからも私は騎士として、ヨシュアと楽しい日々を送ることができそうだ。