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48話

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 レミルは龍の杖を砕かれて負傷し、勝てないと理解したのかザロクと逃亡している。
 ダンジョンを生き延びることができるとは思えないけど、あの二人は自業自得だ。

 そんなことよりも――私は、倒れているハロルドの傍にいる。
 生命力を全て魔力に変えたから、回復魔法でも治すことができない。
 崩れていく体を眺めて、助かる方法は一つしかなかった。

「ダンジョンを踏破した際の願いで元の肉体を復活させれば、ハロルドは生きられます」
「そうだな……リラは、部屋の外に出て欲しい」
「わかりました」

 部屋を出ていき、一人になることでハロルドの願いが叶う。
 それでも……叶える願いを聞いていなかったから、私は不安になっていた。

 回復魔法でも治せなかったから、私ではどうすることもできない。
 ダンジョンを踏破した後に叶えられる願いなら、助かるはずだけど――ハロルドは自分が生きるよりも、本来叶えたかった願いを叶える可能性もあった。

 ハロルドの願いは、ダンジョンを踏破しないと不可能と聞いている。
 内容は踏破する時に知ればいいと聞かなかったけど……ハロルドが自分の命よりも、願いを優先するかもしれない。

 願いの詳細を聞かなかったことを、今になって後悔してしまう。
 ハロルドを部屋から出して、私がハロルドを治したいと願えばよかった。
 そしてハロルドの願いを聞き、私が叶えるために頑張ればよかった。

 そんなことを考えてしまうと……離れた場所にいるハロルドの全身が光に包まれて、すぐに消える。
 崩れていた体が戻っていることに安堵して、私は部屋の中に入りハロルドの元へ向かう。

「前から決めていた願いを叶えることにしたが、やはりそれで全て解決できた」

 ハロルドの発言を聞き、私は驚くしかない。
 両腕に鱗がつき、翼の生えた――龍化スキルを得たハロルドが、目の前にいたからだ。
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