聖女を愛する貴方とは一緒にいられません

43話

　屋敷を襲撃した魔法士達を、私は問題なく対処することに成功した。

　私はドラゴンの姿になって城へ行き、見張りをしていた兵士達に手伝ってもらう。
　何回か往復すれば、私は屋敷を襲撃した人を全て城の牢屋に入れることができていた。

　魔法士の一人はハロルドが指示を出し、依頼者の商人を捕らえることに成功している。
　逃げずに言うとおりにした辺り、眠っている間を狙ったのに即座に目覚めて攻撃したことがトラウマになっていそうだ。

　数日が経ち――依頼者の商人は、呪いの魔法によって息絶えたらしい。
　そのことについて、城の部屋でハロルドがラギン王子に報告する。

「屋敷を消したと嘘の報告をして、直接話を聞こうとしたから魔法士が捕らえた。そこまではよかったが、その瞬間に呪いの力が発揮したようだ」

　どうやら観念した瞬間に、呪いの力で命を失うようになっていたらしい。
　呪魔法は聖女でも限られた人しか使えないのに、誰が使ったのだろうか？

「捕らえた冒険者の話だと、聖女レミルに龍の杖を二本渡していたようだ」
「それなら、レミルが呪いをかけたのでしょうか？」
「呪魔法を教えた者がいるはずだが……龍の杖を持ったレミルなら、自力で覚えてもおかしくはないな」
　
　捕えた魔法士の人達は、私を恐れて知っていることを全て話している。
　龍の杖を持っていた人は商人の護衛だったから、一番詳しいようだ。

「聖女レミルに龍の杖を二つ渡した辺り、その内の一本はザロクが持っているのだろう」
「魔力量の増加から間違いありません」

　こうなるとレミルも、龍の杖で強化されているのは間違いない。
　今どこにいるのかわからないのが気になってしまうと、ラギン王子が呟く。

「……そうなると……ダンジョンの最深部に現れた二人組の盗賊が、レミルとザロクかもしれない」

　そう言って、ラギン王子がダンジョンで起きた出来事を話してくれる。

　最深部はダンジョンの主がいるけど、そこに向かう前に問題が発生しているらしい。
　強力な二人組の盗賊が現れるようで、それがレミルとザロクの可能性が高いようだ。