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11話
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フィリアと婚約を破棄してからカイン王子とは会えず、ようやく会えたと思えば絶交と言い出す。
現状にギオウは焦りながら、元婚約者のフィリアが何かしたと思い込む。
全て聞いたとカインは言い、全てを知っているのはアニスとフィリアしかいないからだ。
部屋で椅子に座り対面した状態で、ギオウは冷静になりながら尋ねる。
「……カイン殿下は、フィリアに何か聞いたのか?」
「ほう。どうしてフィリアだと思う?」
驚いた反応を見せたことで、推測が当たっていたとギオウは確信する。
何を言われたのかは予想がつき、伯爵令嬢の発言より公爵令息の発言を信じてくれるだろう。
「最近フィリアが学園に登校していないから、そこから推測している。フィリアは俺と再び婚約するため、カイン殿下を味方につけようとしたようだが、全て虚言だ」
もし浮気のことや今まで嘘の理由でフィリアを蔑んでいたことを話しているのなら、全て事実だ。
それでも虚言だと言い張れば、フィリアよりもギオウの発言をカインは信じてくれるはず。
「フィリアの発言が虚と、ギオウの発言だけで判断しろというのか?」
「そ、それは……俺はフィリアの婚約者で、立場も上だから当然だろう!」
「当然ではないだろ。確かにギオウの言う通りフィリアと会い、そこで僕はお前の発言が嘘ばかりと確信した」
焦りから叫んでしまうと、カインの発言から静かに怒っていることがわかり硬直してしまう。
嘘ばかりと言ったが、浮気をしたことを証明する方法はないはず。
「嘘ではない。フィリアは神の加護を授かっても、魔石を数個しか作れない無能だ」
「その認識で婚約を破棄したようだが、フィリアを侮りすぎた結果だな」
「な、なんことだ?」
「彼女は蔑まれても、自らの力を使いこなそうとした。今のフィリアは他の加護持ちと対等、いや……それ以上に優秀だ」
「馬鹿な!? そんなことはありえない!!」
ギオウは目の前のカインの発言が信じられず、椅子から立ち上がり取り乱す。
その姿に呆れているようで、椅子に座ったままカインが告げる。
「お前はありえないと思っておけばいい。優秀なフィリアと、僕は婚約することにした」
「え……」
「お前は執着されていると思われたいようだが、僕が婚約したいと伝えればフィリアは受け入れてくれた。これで、執着していないと証明もできるだろう」
発言の意味がわからず呆然としていると、部屋にいた護衛の兵士にカインが命令する。
そして兵士達がギオウに迫り、出て行くように促されてしまう。
言う通りにしなければ強引に追い返されるから、追求することができず城の外に出て行くしかない。
カイン王子の発言を思い返し、ギオウは何も理解できず呟く。
「フィリアとカイン殿下が婚約する? そんなこと学園で知られたら、俺はどうなる……?」
虚言が発覚する上に、相手が王子となれば味方となる生徒は減るだろう。
そしてアニスとの約束も果たせず、これからの日々を恐れるしかない。
これも全てフィリアと別れたせいだと、ギオウは自らの行いを後悔するようになっていた。
現状にギオウは焦りながら、元婚約者のフィリアが何かしたと思い込む。
全て聞いたとカインは言い、全てを知っているのはアニスとフィリアしかいないからだ。
部屋で椅子に座り対面した状態で、ギオウは冷静になりながら尋ねる。
「……カイン殿下は、フィリアに何か聞いたのか?」
「ほう。どうしてフィリアだと思う?」
驚いた反応を見せたことで、推測が当たっていたとギオウは確信する。
何を言われたのかは予想がつき、伯爵令嬢の発言より公爵令息の発言を信じてくれるだろう。
「最近フィリアが学園に登校していないから、そこから推測している。フィリアは俺と再び婚約するため、カイン殿下を味方につけようとしたようだが、全て虚言だ」
もし浮気のことや今まで嘘の理由でフィリアを蔑んでいたことを話しているのなら、全て事実だ。
それでも虚言だと言い張れば、フィリアよりもギオウの発言をカインは信じてくれるはず。
「フィリアの発言が虚と、ギオウの発言だけで判断しろというのか?」
「そ、それは……俺はフィリアの婚約者で、立場も上だから当然だろう!」
「当然ではないだろ。確かにギオウの言う通りフィリアと会い、そこで僕はお前の発言が嘘ばかりと確信した」
焦りから叫んでしまうと、カインの発言から静かに怒っていることがわかり硬直してしまう。
嘘ばかりと言ったが、浮気をしたことを証明する方法はないはず。
「嘘ではない。フィリアは神の加護を授かっても、魔石を数個しか作れない無能だ」
「その認識で婚約を破棄したようだが、フィリアを侮りすぎた結果だな」
「な、なんことだ?」
「彼女は蔑まれても、自らの力を使いこなそうとした。今のフィリアは他の加護持ちと対等、いや……それ以上に優秀だ」
「馬鹿な!? そんなことはありえない!!」
ギオウは目の前のカインの発言が信じられず、椅子から立ち上がり取り乱す。
その姿に呆れているようで、椅子に座ったままカインが告げる。
「お前はありえないと思っておけばいい。優秀なフィリアと、僕は婚約することにした」
「え……」
「お前は執着されていると思われたいようだが、僕が婚約したいと伝えればフィリアは受け入れてくれた。これで、執着していないと証明もできるだろう」
発言の意味がわからず呆然としていると、部屋にいた護衛の兵士にカインが命令する。
そして兵士達がギオウに迫り、出て行くように促されてしまう。
言う通りにしなければ強引に追い返されるから、追求することができず城の外に出て行くしかない。
カイン王子の発言を思い返し、ギオウは何も理解できず呟く。
「フィリアとカイン殿下が婚約する? そんなこと学園で知られたら、俺はどうなる……?」
虚言が発覚する上に、相手が王子となれば味方となる生徒は減るだろう。
そしてアニスとの約束も果たせず、これからの日々を恐れるしかない。
これも全てフィリアと別れたせいだと、ギオウは自らの行いを後悔するようになっていた。
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