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10話
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半年前に、ギオウはカイン王子と会話をする機会があった。
王子と友人関係になるため、学園に登校しないクラスメイトが心配という理由でギオウは何度も頼み込み、一度だけ謁見の許可が出る。
公爵家の令息で同じクラスの男子ということもあり、時間はかかったが国王が認めてくれた。
そして城内の部屋でカイン王子と対面し、ギオウは学園での出来事を話していく。
その際に婚約者だったフィリアが作った魔石を見せると興味を持ったから、譲ることで親しくなろうとした。
魔石を好きな理由は聞かれて欲しくなさそうにしていたから追求せず、自分には不要と言いフィリアの魔石を渡していく。
そうしていると何度も会えるようになったカインは、ギオウが望んだ物を入手して渡してくれるようになる。
カイン王子から物を受け取ったと教室で話し友人関係と言えば、生徒達から羨まれて気分がよかった。
もうフィリアの魔石がなくても友人だろうとギオウは確信したのは、フィリアとの婚約を破棄した後も会うことができたからだ。
カインがいない時は城の中に入れないが、カインの許可により問題なく入れたことにギオウは安堵していた。
そして応接室で対面し、いつも通り談笑するだけだが意味はある。
人嫌いの王子と関わっているだけでも学園の評判は高く、その立場からフィリアを蔑んでも信じてくれた。
そしてカインも虚言を信じているから婚約を破棄した理由もフィリアのせいにでき、今回は婚約者アニスとの約束を果たそうとしている。
「今日は渡す魔石がなくてすまない。カイン殿下に頼みがある」
何度も城で会話をしていると、部屋の中では敬語で話さなくていい関係となれた。
これなら新しい婚約者のアニスを紹介したいと言えば、カインは会ってくれるに違いない。
「頼みか。僕もギオウに聞きたいことがあるが、先に話すといい」
「俺の婚約者アニスがカイン殿下に会いたいようだ。ずっと不登校なのを気にしているようで、一度だけでいいから話をしてくれないだろうか?」
アニスは一度でも会えば、迫ることで確実に好かれると自信満々に話していた。
どうしてそこまで自信家なのか内心で呆れながらも、一度ぐらいならカイン王子もアニスと会ってくれるだろう。
申し訳なさそうに尋ねてみると、カインは無表情のまま返答する。
「断る。どうして僕が、アニスと会わなければならない」
「そ、それは……カイン殿下と友人の俺が、会わせると約束してしまったからだ!」
「僕と君は友人ではない。お互い利用し合っていただけだ」
「な、なにを言っている!?」
「数日前までは僕だってギオウを友人と思っていたが、全て聞いたから信用できない。友人と言うのならこの場で絶交するとしよう」
冷めた目でギオウを眺めるカイン王子は、完全に興味を失っていると理解させられる。
全て聞いたと言われたが、心当たりは元婚約者のフィリアしかいなかった。
王子と友人関係になるため、学園に登校しないクラスメイトが心配という理由でギオウは何度も頼み込み、一度だけ謁見の許可が出る。
公爵家の令息で同じクラスの男子ということもあり、時間はかかったが国王が認めてくれた。
そして城内の部屋でカイン王子と対面し、ギオウは学園での出来事を話していく。
その際に婚約者だったフィリアが作った魔石を見せると興味を持ったから、譲ることで親しくなろうとした。
魔石を好きな理由は聞かれて欲しくなさそうにしていたから追求せず、自分には不要と言いフィリアの魔石を渡していく。
そうしていると何度も会えるようになったカインは、ギオウが望んだ物を入手して渡してくれるようになる。
カイン王子から物を受け取ったと教室で話し友人関係と言えば、生徒達から羨まれて気分がよかった。
もうフィリアの魔石がなくても友人だろうとギオウは確信したのは、フィリアとの婚約を破棄した後も会うことができたからだ。
カインがいない時は城の中に入れないが、カインの許可により問題なく入れたことにギオウは安堵していた。
そして応接室で対面し、いつも通り談笑するだけだが意味はある。
人嫌いの王子と関わっているだけでも学園の評判は高く、その立場からフィリアを蔑んでも信じてくれた。
そしてカインも虚言を信じているから婚約を破棄した理由もフィリアのせいにでき、今回は婚約者アニスとの約束を果たそうとしている。
「今日は渡す魔石がなくてすまない。カイン殿下に頼みがある」
何度も城で会話をしていると、部屋の中では敬語で話さなくていい関係となれた。
これなら新しい婚約者のアニスを紹介したいと言えば、カインは会ってくれるに違いない。
「頼みか。僕もギオウに聞きたいことがあるが、先に話すといい」
「俺の婚約者アニスがカイン殿下に会いたいようだ。ずっと不登校なのを気にしているようで、一度だけでいいから話をしてくれないだろうか?」
アニスは一度でも会えば、迫ることで確実に好かれると自信満々に話していた。
どうしてそこまで自信家なのか内心で呆れながらも、一度ぐらいならカイン王子もアニスと会ってくれるだろう。
申し訳なさそうに尋ねてみると、カインは無表情のまま返答する。
「断る。どうして僕が、アニスと会わなければならない」
「そ、それは……カイン殿下と友人の俺が、会わせると約束してしまったからだ!」
「僕と君は友人ではない。お互い利用し合っていただけだ」
「な、なにを言っている!?」
「数日前までは僕だってギオウを友人と思っていたが、全て聞いたから信用できない。友人と言うのならこの場で絶交するとしよう」
冷めた目でギオウを眺めるカイン王子は、完全に興味を失っていると理解させられる。
全て聞いたと言われたが、心当たりは元婚約者のフィリアしかいなかった。
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