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4話
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学園で私が蔑まれているのは、岩神の加護がありながら大して活躍できていないからだ。
神の加護がある時点で優れているのに、周囲は他の加護を持つ人と比べてくる。
それは同じクラスにいる元婚約者ギオウが、私の評判を落としていることもありそうだ。
少量の魔石が作れるだけで婚約してみたが、後悔していると嘘をついているのは知っている。
侍女との浮気をしても受け入れる私を傍に置きたいようだから、公爵令嬢アニスと婚約しても執着がありそうだ。
それなのに私がギオウに執着していると思わせようとしているから、こちらにも考えがある。
ギオウとの話を終えて、私は屋敷に戻り父の元へ向かう。
部屋で父と対面した私は、今後の予定を話すことにした。
「お父様、私は明日から学園を休み、魔道具店に行ってきます」
「そ、そうか……ここ最近は魔石を作れなくなったようだが、フィリアは大丈夫か?」
「婚約破棄されて学園では精神的に追い詰められているのに、大丈夫なわけないでしょう」
父は心配はするけど行動はしない人で、ギオウのデュドラ公爵家とは立場の差から何も意見することなく全て受け入れていた。
目の前のカドアース伯爵家の領主には何も期待していないから、行動は話しても望み通りにはさせない。
ここ最近は体調不良を理由に魔石を作り出すことを止めて、私は休むことにしていた。
「悪いが私は何もできん。魔道具店に行く理由はなんだ?」
「私が作る魔石が役立っていると知れば気持ちが楽になり、再び魔石を作れるようになるかもしれません」
「そういうことか……わかった。学園はしばらく休んで構わない」
実際は問題なく魔石を作れるけど、それを父が知ると私に魔石を作らせて取引に使う。
今は魔力を完全回復させておきたいから、父の役に立つ行動を控えている。
この人に任せていたらギオウの望み通りになるし、私のやりたいことができない。
それでも父でガドアース伯爵家の領主だから、納得させるだけの理由は作る必要があった。
これで私は明日から、学園を休み魔道具店で自由に行動できる。
とにかく加護のせいで評判が落ちているから、加護の力について詳しく知る必要があった。
◇◆◇
父の紹介で、私が作った魔石を取引している魔道具店に到着する。
鍛冶屋という感じで金属を加工している人達の姿があり、工房にた1人の青年が私を応接室に案内してくれた。
「フィリア様ですね。私はヤガダ。ここの店長をしています」
「よろしくお願いします。私の魔石が魔道具作りに使われていると聞き、興味がありました」
短い青髪の大柄な青年ヤガダは、椅子に座り対面している私に笑顔を向けて。
「魔石は貴重なので、岩神の加護で作られた魔石は重宝しています。最近は取引の数が減ってしまったようですが、何かありましたか?」
「婚約を破棄されたショックのせいです。もう少しだけ待ってください」
「それは……婚約破棄以前から取引数が減っていることは、ご存知ないようですね」
困惑しながらヤガダが教えてくれるけど、父は私が作る魔石をヤガダかギオウにしか取引していないと聞いている。
そうなるとギオウに多く渡していた可能性が高いけど、詳しい説明を聞いていない。
「それは恐らく僕に原因がある。ギオウが頻繁に魔石を渡してくれたが、あれはフィリアが作った魔石なのだろう」
いきなり部屋から声が聞こえて驚いてしまうと、声の方向を見て更に驚くこととなる。
どうやらヤガダ以外の人が今まで部屋の隅にいたようで、私の死角だから気付けなかった。
おずおずと手を挙げている短い金髪の美青年を目にして、私は更に驚くこととなってしまう。
「えっと……貴方は、カイン殿下ですよね?」
「どこで挨拶するべきか悩み、こんな形で挨拶することとなってしまった……確かに、僕の名前はカインだ」
どうやら今まで様子を見ていたようだけど、挨拶するため行動できなかったことを悔いていそう。
クラスメイトだけど学園にまったく登校していない第三王子と、魔道具店で出会うことになるとは思わなかった。
神の加護がある時点で優れているのに、周囲は他の加護を持つ人と比べてくる。
それは同じクラスにいる元婚約者ギオウが、私の評判を落としていることもありそうだ。
少量の魔石が作れるだけで婚約してみたが、後悔していると嘘をついているのは知っている。
侍女との浮気をしても受け入れる私を傍に置きたいようだから、公爵令嬢アニスと婚約しても執着がありそうだ。
それなのに私がギオウに執着していると思わせようとしているから、こちらにも考えがある。
ギオウとの話を終えて、私は屋敷に戻り父の元へ向かう。
部屋で父と対面した私は、今後の予定を話すことにした。
「お父様、私は明日から学園を休み、魔道具店に行ってきます」
「そ、そうか……ここ最近は魔石を作れなくなったようだが、フィリアは大丈夫か?」
「婚約破棄されて学園では精神的に追い詰められているのに、大丈夫なわけないでしょう」
父は心配はするけど行動はしない人で、ギオウのデュドラ公爵家とは立場の差から何も意見することなく全て受け入れていた。
目の前のカドアース伯爵家の領主には何も期待していないから、行動は話しても望み通りにはさせない。
ここ最近は体調不良を理由に魔石を作り出すことを止めて、私は休むことにしていた。
「悪いが私は何もできん。魔道具店に行く理由はなんだ?」
「私が作る魔石が役立っていると知れば気持ちが楽になり、再び魔石を作れるようになるかもしれません」
「そういうことか……わかった。学園はしばらく休んで構わない」
実際は問題なく魔石を作れるけど、それを父が知ると私に魔石を作らせて取引に使う。
今は魔力を完全回復させておきたいから、父の役に立つ行動を控えている。
この人に任せていたらギオウの望み通りになるし、私のやりたいことができない。
それでも父でガドアース伯爵家の領主だから、納得させるだけの理由は作る必要があった。
これで私は明日から、学園を休み魔道具店で自由に行動できる。
とにかく加護のせいで評判が落ちているから、加護の力について詳しく知る必要があった。
◇◆◇
父の紹介で、私が作った魔石を取引している魔道具店に到着する。
鍛冶屋という感じで金属を加工している人達の姿があり、工房にた1人の青年が私を応接室に案内してくれた。
「フィリア様ですね。私はヤガダ。ここの店長をしています」
「よろしくお願いします。私の魔石が魔道具作りに使われていると聞き、興味がありました」
短い青髪の大柄な青年ヤガダは、椅子に座り対面している私に笑顔を向けて。
「魔石は貴重なので、岩神の加護で作られた魔石は重宝しています。最近は取引の数が減ってしまったようですが、何かありましたか?」
「婚約を破棄されたショックのせいです。もう少しだけ待ってください」
「それは……婚約破棄以前から取引数が減っていることは、ご存知ないようですね」
困惑しながらヤガダが教えてくれるけど、父は私が作る魔石をヤガダかギオウにしか取引していないと聞いている。
そうなるとギオウに多く渡していた可能性が高いけど、詳しい説明を聞いていない。
「それは恐らく僕に原因がある。ギオウが頻繁に魔石を渡してくれたが、あれはフィリアが作った魔石なのだろう」
いきなり部屋から声が聞こえて驚いてしまうと、声の方向を見て更に驚くこととなる。
どうやらヤガダ以外の人が今まで部屋の隅にいたようで、私の死角だから気付けなかった。
おずおずと手を挙げている短い金髪の美青年を目にして、私は更に驚くこととなってしまう。
「えっと……貴方は、カイン殿下ですよね?」
「どこで挨拶するべきか悩み、こんな形で挨拶することとなってしまった……確かに、僕の名前はカインだ」
どうやら今まで様子を見ていたようだけど、挨拶するため行動できなかったことを悔いていそう。
クラスメイトだけど学園にまったく登校していない第三王子と、魔道具店で出会うことになるとは思わなかった。
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