見た目が地味で聖女に相応しくないと言われ追放された私は、本来の見た目に戻り隣国の聖女となりました

31話

　私とゼスタは王の間に到着して、そこには陛下だけだった。

　陛下は私達を眺めて対面して、少し焦っている様子なのが気になっていると。

「よく来てくれた……シーファのお陰で本当に助かっている」

「聖女として当然のことをしたまでです」

「父上、何かあったのですか？」

　ゼスタが尋ねると、ロウーラ王は頷いて。

「うむ。モルドーラ国を調査させていた冒険者達の報告を受けて、2人には聞いておいて欲しいことがある」

　どうやらモルドーラ国のようだけど、何が起こったのだろう？

　サリナだと問題を対処できないだろうし、最悪の事態になっていてもおかしくはない。

　そう考えていると、ロウーラ王が告げる。

「どうやらモルドーラ国は、神龍が支配しているようだ」

「支配……ですか？」

　バトルドラゴンに滅ぼされているのかと思ったけど、支配というのが理解できない。

　隣のゼスタも同じ気持ちなのか、一歩前に出て。

「一体、何が起きたというのですか？」

「詳しくはわからないが……人語を話す神龍の幹部が現れ、城で指示を出しているらしい……今のところ被害は出ていないようで大陸に魔道具らしき杭を刺しているようだ」

　どうやら冒険者ギルドにも依頼を出させているようで、それによって冒険者ギルドも把握しているのでしょう。

「冒険者ギルドは様子を見るらしい……杭を回収しようにも、神龍を敵に回すのは危険だと判断したようだな」

　確かに、あのバトルドラゴンを大量に部下にしている神龍が敵に回ると、組織は壊滅する可能性がある。

　戦う理由がなければ様子を見たいと思うのは当然だけど、何か企んでいる可能性は高い。

「その杭がよくわからないが……神龍にとって必要なら、人類にとって脅威になるかもしれませんね」

　ゼスタがロウーラ王に告げるけど、その杭の力についても冒険者ギルドは調べている最中なのかもしれない。

　隣国とはいえ、ロウーラ国も神龍側を敵に回したくないようで、様子を見ることになっていた。

　あのモルドーラ国が黙って従うとは思えない……モルドーラ国の内部は、きっと大変なことになっているはずだ。