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26話 サリナ視点

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 サリナは魔道具の首輪によって、逃げることができない状況に陥っていた。

「ど、どうして……このあたしが、こんな目に合わなきゃいけないのよ……」

 バトルドラゴンの襲撃を全て対処でき、サリナは自分の部屋で嘆くしかない。

 あれからバトルドラゴンの襲撃は多発して、その旅にサリナは回復魔法を酷使していく。

 魔力が切れたらすぐに魔力回復ポーションを飲まされて、自分の命を削っているのが理解できてしまう。

 婚約者のグレイは多少の無茶と言っているも、精神的にはもう限界がきている。

 それでも動けるのは首輪の効力によるもので……サリナはただ回復魔法を使い続ける日々を送っていた。
 
「こんなの、奴隷以下よ……シーファは、シーファはまだ見つからないの!?」

 シーファさえ居れば、こんな目に合わなくて済むかもしれない。

 今までの発言全てに後悔しながらも、もしシーファが目の前に現れたら間違いなく激高する。

 自分を抑えられないと確信がありながらも、サリナはそれでもシーファが戻ってくることを期待していると。

「サリナ様!」

 兵士の発言と同時に扉を力強く叩く音が響き、サリナは全身を強張らせる。

 この兵士は陰でサリナを馬鹿にしていた兵士……いいえ、この城の兵士達や冒険者は、全員が陰でサリナを見下している。

「な、なによ……」

「緊急事態です! すぐに王の間へ!!」

 首輪の効力もあって逆らえず、サリナは急いで王の間へと向かうしかない。

「こ、今度はなによ……」

 兵士の焦り方から、間違いなくシーファが見つかったという吉報ではない。

 王の間にはモルドーラ王と、婚約者グレイだけしか居なくて……サリナは嫌な予感がしていると。

「人語を話すバトルドラゴンが現れたと連絡があった……話があるらしく、聖女を呼べとのことだ」

「恐らく神龍の部下でも上位だろう……喰われることを覚悟して行け!」

「そ、そんな……」

 陛下がとんでもない命令を出してくるも、サリナは逆らうことができない。

 嫌だと叫ぼうにも首輪の効力か意見できず、無力さに歯がみするしかない。

 抵抗することもできないサリナは、ドラゴンの元へと向かうしかなかった。
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