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21話

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 翌日の朝――目が覚めて鏡を眺めると、そこに地味聖女は存在していない。

 髪で半分以上隠れていた表情がはっきりと見えて、藍色の奇麗な瞳……ゼスタに美しいと言われた本来の私が、そこにはあった。

「こ、この姿なら、流石に聖女だって思うわよね……」

 モルドーラ国で聖女をしていた頃、地味聖女だと蔑まれていたけど……あの時にサリナの命令を無視してこの姿になっていれば、まだモルドーラ国の聖女で居られたかもしれない。

 もう終わったこと……こうして今、ゼスタに会えたことが幸せだから、地味聖女と蔑まれながら生きてきてよかったとすら覚えている。

 そう考えながら、私はゼスタの部屋に向かっていた。

 × × ×

 ゼスタの部屋の前まで来たけど……やっぱり緊張してしまう。

 そう考えていると扉が開いて、私はゼスタと対面していた。

 本来の見た目に戻った私を見て、ゼスタは少し驚きながら。

「髪を切ったのか……その見た目は目立ちそうだけど、大丈夫か?」

 私の過去を話したから、ゼストは心配してくれている。

 前に私の眼を見ていたからか、そこまで驚いてはいない様子だ。

「大丈夫です……それより、どうでしょうか?」

 ゼスタは気遣って何も言わないでくれたのだと思うけど、私はゼスタに思わず尋ねてしまう。

 私の方から尋ねてくるとは思わなかったのか、ゼスタは驚きながらも微笑みを浮かべて。 

「ああ……とてつもなく綺麗だ」

 ゼスタがそう言ってくれるだけで、私はとてつもなく嬉しくなる。

 これから城に向かって聖女だと紹介されることになっているけど、地味聖女だと呼ばれることはないも、いきなり隣国の元聖女を聖女にすると言われて納得するのだろうか?

 ゼスタの反応を見ると大丈夫のような気もするけど、不安になりながら、私はゼスタと共に城へ向かっていた。
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