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私は馬車を使わず、飛行魔法で空を飛びながら国境を抜けていた。
聖魔力と無属性の魔法しか使えないけど、膨大な聖魔力があるからこれぐらいでは疲れない。
馬車よりも早いし、このロウーラ国に行こうと思ったのは、ここがモルドーラ国の次に危険だと察知したからだ。
サリナは妄言だと言い切っていたけど……自分の直感だけは信じたかった。
平原を歩いていると、やけに怪我をしている動物が多くて……私は回復魔法を使って治していく。
人間に敵意を持っているモンスターかどうかは敵意からすぐにわかるけど、言葉は通じない。
それでも……1頭の銀色の馬が、私に感謝しているのか私に引っついてきて。
「貴方、背中に乗れって言っているの?」
目の前の動物は魔力を宿している魔馬という知性のある馬で、鳴き声と同時に背中を出してくれる。
もう誰も信じないと決めたばかりだけど、好意を拒むことはできない……私は背中に乗って、行く先を指差す。
「ここから一番人の魔力を感じる方向……きっとそこに、街があるわ」
地理はモルドール国しか知らないけど、街の場所はわかる。
魔力を宿していることもあって魔馬の速度は速く、1日は野宿をするも、翌日の昼過ぎには目的地の街に到着していた。
私は魔馬の、レーマの毛並みを撫でながら整えて。
「レーマ……街に到着したら、馬宿で休ませてあげるからね」
野宿の時に話して……お互い言葉は通じないけど、何を言っているのか大体わかる。
どうやらこの子はメスのようで、私にずっと着いてきてくれると決意しているらしく、私はレーマと名付けていた。
この子が裏切らない限りは一緒に居ようと考えながらも……街の壁が見えてきて、その壁に向かってモンスターの群れが襲撃している光景を私は目撃する。
「レーマ! 止まって!」
すぐに止まってくれたレーラに木影に隠れてもらい、私は状況を確認する。
どうやら銀髪の短い髪、凛々しい瞳をして鎧を纏っている美少年が戦いながら指揮をとっているようだ。
私と同い年ぐらいの子なのに指揮をとれるだなんて、相当優秀なのだというのがわかる。
それでも――戦っているのは二足歩行をしている蜥蜴のような見た目をしているドラゴン、バトルドラゴンと呼ばれている強力なモンスターの群れだ。
最近はモルドール国を中心によく現れているようで、その数は8体。
知性があって武器を扱い、1体1体が上位冒険者並の強さをもっているみたいで、半年に一度ぐらいの頻度で現れて被害を出していく。
モルドール国に最近現れないから、皆が私が不要と認識して追放しようと決意した気がするけど……バトルドラゴンは隣国に現れていたようだ。
レーマが巻き込まれないようかなり距離をとって私は飛行魔法を使い、人とドラゴンが戦闘をしている中心、指揮をとっている少年の隣に着地しようとしていた。
聖魔力と無属性の魔法しか使えないけど、膨大な聖魔力があるからこれぐらいでは疲れない。
馬車よりも早いし、このロウーラ国に行こうと思ったのは、ここがモルドーラ国の次に危険だと察知したからだ。
サリナは妄言だと言い切っていたけど……自分の直感だけは信じたかった。
平原を歩いていると、やけに怪我をしている動物が多くて……私は回復魔法を使って治していく。
人間に敵意を持っているモンスターかどうかは敵意からすぐにわかるけど、言葉は通じない。
それでも……1頭の銀色の馬が、私に感謝しているのか私に引っついてきて。
「貴方、背中に乗れって言っているの?」
目の前の動物は魔力を宿している魔馬という知性のある馬で、鳴き声と同時に背中を出してくれる。
もう誰も信じないと決めたばかりだけど、好意を拒むことはできない……私は背中に乗って、行く先を指差す。
「ここから一番人の魔力を感じる方向……きっとそこに、街があるわ」
地理はモルドール国しか知らないけど、街の場所はわかる。
魔力を宿していることもあって魔馬の速度は速く、1日は野宿をするも、翌日の昼過ぎには目的地の街に到着していた。
私は魔馬の、レーマの毛並みを撫でながら整えて。
「レーマ……街に到着したら、馬宿で休ませてあげるからね」
野宿の時に話して……お互い言葉は通じないけど、何を言っているのか大体わかる。
どうやらこの子はメスのようで、私にずっと着いてきてくれると決意しているらしく、私はレーマと名付けていた。
この子が裏切らない限りは一緒に居ようと考えながらも……街の壁が見えてきて、その壁に向かってモンスターの群れが襲撃している光景を私は目撃する。
「レーマ! 止まって!」
すぐに止まってくれたレーラに木影に隠れてもらい、私は状況を確認する。
どうやら銀髪の短い髪、凛々しい瞳をして鎧を纏っている美少年が戦いながら指揮をとっているようだ。
私と同い年ぐらいの子なのに指揮をとれるだなんて、相当優秀なのだというのがわかる。
それでも――戦っているのは二足歩行をしている蜥蜴のような見た目をしているドラゴン、バトルドラゴンと呼ばれている強力なモンスターの群れだ。
最近はモルドール国を中心によく現れているようで、その数は8体。
知性があって武器を扱い、1体1体が上位冒険者並の強さをもっているみたいで、半年に一度ぐらいの頻度で現れて被害を出していく。
モルドール国に最近現れないから、皆が私が不要と認識して追放しようと決意した気がするけど……バトルドラゴンは隣国に現れていたようだ。
レーマが巻き込まれないようかなり距離をとって私は飛行魔法を使い、人とドラゴンが戦闘をしている中心、指揮をとっている少年の隣に着地しようとしていた。
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