53 / 109
2章
34話
しおりを挟む
聖堂に来て七日目となり――朝食を終えると、部屋に騎士がやって来ていた。
どうやらゲオルグが呼んでいたらしく、私達は聖堂の大広間へ向かう。
豪華で太い柱が並ぶ広場の中央にゲオルグがいて、レックス殿下、ロイも呼ばれていた。
近くには聖者や騎士達……アスファとバダムもいて、ゲオルグが皆に宣言する。
「今朝、私に神託が下った……三日後に試練が行われる!」
ゲオルグの発言に対して、周囲がざわめいている。
――私達が聖堂に来て十日目に、試練が行われる。
試練の日程がゲーム通り決まったことに私が安堵し、カレンも同じ気持ちのはずだ。
「他の者は皆試練を受けているから、今回受けるのはロイ様とカレン様だ!」
私が受けないことで、理由を知らない人がどよめいている。
その間にも、ゲオルグは試練について説明していた。
それは以前聞いた内容とほとんど同じで……試練の間は、この大広間の奥にあるらしい。
問題が起きないよう、試練の間は常に立ち入り禁止で、魔道具による結界が張られているようだ。
大広間の奥にある封じられた扉を開けて、通路を通らないと試練の間には入れない。
そして中に入るのはゲオルグとロイとカレンの三人で……バダムや一部の聖者は、これから試練の準備をするようだ。
試練を万全の状態で受けるため――今日以降は、試練のために休憩することとなっていた。
まだ意識を失って二人の試練どころではなくなった時が大変だから、私も試練が終わるまでは大人しくしていよう。
◇◆◇
どうやら今日から明日、明後日は自由に動いていいらしい。
試練前日の日には一度全員集合するようだけど、話はすぐに終わるようだ。
私達はひとまず、レックス殿下とロイが泊まっている部屋に向かって、今日のことを話そうとしている。
揃って歩いていると、レックス殿下が私を眺めていた。
「試練でロイとカレンの聖魔力は強くなるだろう……俺も早く、魔法剣技を取得したいものだ!」
やる気に満ちているレックス殿下を、アスファは憧れの眼差しで眺める。
「そのことですが……後でレックス様に、話しておきたいことがあります」
「なんだ?」
アスファの発言に、レックス殿下が首を傾げていた。
そんなレックス殿下を眺めながら、アスファが話す。
「部屋で今日以降どうするかを決めるのでしたら、部屋に到着してからにしましょう」
「それもそうだな」
昨日の決闘を経て、レックス殿下とアスファの仲はよくなっている。
今日の予定だけど……これから三日間に起こるゲームのことを思い返す。
ここから三日間が、ゲームだと重大な場面なんだけど……今までのことから、大丈夫のはず。
そう考えながら、私はゲームで神託が下ってから十日目までを思い出していた。
試練を乗り越えてロイの力になれるか、主役カレンが不安になる。
そんな中でロイはカレンにお礼を言ってから告白して、お互いのことを好きだと気づく。
立場から恋人同士にはならないけど、この時点で二人は相手の想いを知っていた。
その後カレンは試練を乗り越えて――二学期でロイを完全に治し、エンディングを迎えることとなる。
それがゲームでのイベントだけど……今は私がロイを治しているから、何もイベントは発生しなさそう。
そう考えながら……私はレックス殿下とロイの部屋に向かって、今日以降のことを話そうとしていた。
どうやらゲオルグが呼んでいたらしく、私達は聖堂の大広間へ向かう。
豪華で太い柱が並ぶ広場の中央にゲオルグがいて、レックス殿下、ロイも呼ばれていた。
近くには聖者や騎士達……アスファとバダムもいて、ゲオルグが皆に宣言する。
「今朝、私に神託が下った……三日後に試練が行われる!」
ゲオルグの発言に対して、周囲がざわめいている。
――私達が聖堂に来て十日目に、試練が行われる。
試練の日程がゲーム通り決まったことに私が安堵し、カレンも同じ気持ちのはずだ。
「他の者は皆試練を受けているから、今回受けるのはロイ様とカレン様だ!」
私が受けないことで、理由を知らない人がどよめいている。
その間にも、ゲオルグは試練について説明していた。
それは以前聞いた内容とほとんど同じで……試練の間は、この大広間の奥にあるらしい。
問題が起きないよう、試練の間は常に立ち入り禁止で、魔道具による結界が張られているようだ。
大広間の奥にある封じられた扉を開けて、通路を通らないと試練の間には入れない。
そして中に入るのはゲオルグとロイとカレンの三人で……バダムや一部の聖者は、これから試練の準備をするようだ。
試練を万全の状態で受けるため――今日以降は、試練のために休憩することとなっていた。
まだ意識を失って二人の試練どころではなくなった時が大変だから、私も試練が終わるまでは大人しくしていよう。
◇◆◇
どうやら今日から明日、明後日は自由に動いていいらしい。
試練前日の日には一度全員集合するようだけど、話はすぐに終わるようだ。
私達はひとまず、レックス殿下とロイが泊まっている部屋に向かって、今日のことを話そうとしている。
揃って歩いていると、レックス殿下が私を眺めていた。
「試練でロイとカレンの聖魔力は強くなるだろう……俺も早く、魔法剣技を取得したいものだ!」
やる気に満ちているレックス殿下を、アスファは憧れの眼差しで眺める。
「そのことですが……後でレックス様に、話しておきたいことがあります」
「なんだ?」
アスファの発言に、レックス殿下が首を傾げていた。
そんなレックス殿下を眺めながら、アスファが話す。
「部屋で今日以降どうするかを決めるのでしたら、部屋に到着してからにしましょう」
「それもそうだな」
昨日の決闘を経て、レックス殿下とアスファの仲はよくなっている。
今日の予定だけど……これから三日間に起こるゲームのことを思い返す。
ここから三日間が、ゲームだと重大な場面なんだけど……今までのことから、大丈夫のはず。
そう考えながら、私はゲームで神託が下ってから十日目までを思い出していた。
試練を乗り越えてロイの力になれるか、主役カレンが不安になる。
そんな中でロイはカレンにお礼を言ってから告白して、お互いのことを好きだと気づく。
立場から恋人同士にはならないけど、この時点で二人は相手の想いを知っていた。
その後カレンは試練を乗り越えて――二学期でロイを完全に治し、エンディングを迎えることとなる。
それがゲームでのイベントだけど……今は私がロイを治しているから、何もイベントは発生しなさそう。
そう考えながら……私はレックス殿下とロイの部屋に向かって、今日以降のことを話そうとしていた。
0
お気に入りに追加
7,358
あなたにおすすめの小説
我慢するだけの日々はもう終わりにします
風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。
学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。
そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。
※本編完結しましたが、番外編を更新中です。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※独特の世界観です。
※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。