20 / 58
20話
しおりを挟む
アゼル殿下は、私の力を周囲に認めさせるために魔力値を測定させる魔道具を作っていた。
アゼル殿下だけは私を蔑んでいなかったことから、今まで気になっていたことを私は尋ねる。
「やはりアゼル殿下は、私の聖魔力の強さを知っていたのですね」
「そうなる……聖女の力を受け継ぐ前に完成させたかったんだけど無理だった……すまない」
アゼル殿下は頷いて、私に頭を下げていた。
城の城壁を飛び越えて、私と2人きりで話をしたかったのは、こうして謝罪したかったからなのかもしれない。
王子のアゼル殿下が頭を下げることに私は動揺して、本音を口にする。
「アゼル殿下が謝る理由は一切ありませんよ」
「そうか……さっきも言ったけど、俺は才能のある者が不当な扱いをしているのが耐えられなかった」
その発言は、私もとてつもなく嬉しかった。
アゼル殿下の魔道具によって陛下達の謝罪を見てから国を出ることができて、私は感謝するしかない。
「はい。アゼル殿下……ありがとうございました」
城の人達が城壁を抜けて追って来そうだから、長話はできない。
お別れの時は来て――こうして会話できたことに、私は満足していると、アゼル殿下が私を眺めている。
真剣な表情に惹かれて、離れたくないとまで思ってしまうと、アゼル殿下が口を開き。
「シャロン。もし、これから何もやることがないのなら……俺に協力してくれないだろうか?」
「……えっ?」
別れる前に……アゼル殿下が協力して欲しいと頼まれて、私は驚くしかなかった。
アゼル殿下だけは私を蔑んでいなかったことから、今まで気になっていたことを私は尋ねる。
「やはりアゼル殿下は、私の聖魔力の強さを知っていたのですね」
「そうなる……聖女の力を受け継ぐ前に完成させたかったんだけど無理だった……すまない」
アゼル殿下は頷いて、私に頭を下げていた。
城の城壁を飛び越えて、私と2人きりで話をしたかったのは、こうして謝罪したかったからなのかもしれない。
王子のアゼル殿下が頭を下げることに私は動揺して、本音を口にする。
「アゼル殿下が謝る理由は一切ありませんよ」
「そうか……さっきも言ったけど、俺は才能のある者が不当な扱いをしているのが耐えられなかった」
その発言は、私もとてつもなく嬉しかった。
アゼル殿下の魔道具によって陛下達の謝罪を見てから国を出ることができて、私は感謝するしかない。
「はい。アゼル殿下……ありがとうございました」
城の人達が城壁を抜けて追って来そうだから、長話はできない。
お別れの時は来て――こうして会話できたことに、私は満足していると、アゼル殿下が私を眺めている。
真剣な表情に惹かれて、離れたくないとまで思ってしまうと、アゼル殿下が口を開き。
「シャロン。もし、これから何もやることがないのなら……俺に協力してくれないだろうか?」
「……えっ?」
別れる前に……アゼル殿下が協力して欲しいと頼まれて、私は驚くしかなかった。
38
お気に入りに追加
5,386
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ですか。お好きにどうぞ
神崎葵
恋愛
シェリル・アンダーソンは侯爵家の一人娘として育った。だが十歳のある日、病弱だった母が息を引き取り――その一年後、父親が新しい妻と、そしてシェリルと一歳しか違わない娘を家に連れてきた。
これまで苦労させたから、と継母と妹を甘やかす父。これまで贅沢してきたのでしょう、とシェリルのものを妹に与える継母。あれが欲しいこれが欲しい、と我侭ばかりの妹。
シェリルが十六を迎える頃には、自分の訴えが通らないことに慣れ切ってしまっていた。
そうしたある日、婚約者である公爵令息サイラスが婚約を破棄したいとシェリルに訴えた。
シェリルの頭に浮かんだのは、数日前に見た――二人で歩く妹とサイラスの姿。
またか、と思ったシェリルはサイラスの訴えに応じることにした。
――はずなのに、何故かそれ以来サイラスがよく絡んでくるようになった。
魔法が使えなかった令嬢は、婚約破棄によって魔法が使えるようになりました
天宮有
恋愛
魔力のある人は15歳になって魔法学園に入学し、16歳までに魔法が使えるようになるらしい。
伯爵令嬢の私ルーナは魔力を期待されて、侯爵令息ラドンは私を婚約者にする。
私は16歳になっても魔法が使えず、ラドンに婚約破棄言い渡されてしまう。
その後――ラドンの婚約破棄した後の行動による怒りによって、私は魔法が使えるようになっていた。
陰謀は、婚約破棄のその後で
秋津冴
恋愛
王国における辺境の盾として国境を守る、グレイスター辺境伯アレクセイ。
いつも眠たそうにしている彼のことを、人は昼行灯とか怠け者とか田舎者と呼ぶ。
しかし、この王国は彼のおかげで平穏を保てるのだと中央の貴族たちは知らなかった。
いつものように、王都への定例報告に赴いたアレクセイ。
彼は、王宮の端でとんでもないことを耳にしてしまう。
それは、王太子ラスティオルによる、婚約破棄宣言。
相手は、この国が崇めている女神の聖女マルゴットだった。
一連の騒動を見届けたアレクセイは、このままでは聖女が謀殺されてしまうと予測する。
いつもの彼ならば関わりたくないとさっさと辺境に戻るのだが、今回は話しが違った。
聖女マルゴットは彼にとって一目惚れした相手だったのだ。
無能と蔑まれていた辺境伯が、聖女を助けるために陰謀を企てる――。
他の投稿サイトにも別名義で掲載しております。
この話は「本日は、絶好の婚約破棄日和です。」と「王太子妃教育を受けた私が、婚約破棄相手に復讐を果たすまで。」の二話の合間を描いた作品になります。
宜しくお願い致します。
クリスティーヌの華麗なる復讐[完]
風龍佳乃
恋愛
伯爵家に生まれたクリスティーヌは
代々ボーン家に現れる魔力が弱く
その事が原因で次第に家族から相手に
されなくなってしまった。
使用人達からも理不尽な扱いを受けるが
婚約者のビルウィルの笑顔に救われて
過ごしている。
ところが魔力のせいでビルウィルとの
婚約が白紙となってしまい、更には
ビルウィルの新しい婚約者が
妹のティファニーだと知り
全てに失望するクリスティーヌだが
突然、強力な魔力を覚醒させた事で
虐げてきたボーン家の人々に復讐を誓う
クリスティーヌの華麗なざまぁによって
見事な逆転人生を歩む事になるのだった
もう愛は冷めているのですが?
希猫 ゆうみ
恋愛
「真実の愛を見つけたから駆け落ちするよ。さよなら」
伯爵令嬢エスターは結婚式当日、婚約者のルシアンに無残にも捨てられてしまう。
3年後。
父を亡くしたエスターは令嬢ながらウィンダム伯領の領地経営を任されていた。
ある日、金髪碧眼の美形司祭マクミランがエスターを訪ねてきて言った。
「ルシアン・アトウッドの居場所を教えてください」
「え……?」
国王の命令によりエスターの元婚約者を探しているとのこと。
忘れたはずの愛しさに突き動かされ、マクミラン司祭と共にルシアンを探すエスター。
しかしルシアンとの再会で心優しいエスターの愛はついに冷め切り、完全に凍り付く。
「助けてくれエスター!僕を愛しているから探してくれたんだろう!?」
「いいえ。あなたへの愛はもう冷めています」
やがて悲しみはエスターを真実の愛へと導いていく……
◇ ◇ ◇
完結いたしました!ありがとうございました!
誤字報告のご協力にも心から感謝申し上げます。
婚約者の命令で外れない仮面を着けた私は婚約破棄を受けたから、仮面を外すことにしました
天宮有
恋愛
婚約者バルターに魔法が上達すると言われて、伯爵令嬢の私シエルは顔の半分が隠れる仮面を着けることとなっていた。
魔法は上達するけど仮面は外れず、私達は魔法学園に入学する。
仮面のせいで周囲から恐れられていた私は、バルターから婚約破棄を受けてしまう。
その後、私を恐れていなかった伯爵令息のロランが、仮面の外し方を教えてくれる。
仮面を外しても魔法の実力はそのままで、私の評判が大きく変わることとなっていた。
熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。
しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。
「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」
身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。
堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。
数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。
妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。
冤罪を受けたため、隣国へ亡命します
しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」
呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。
「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」
突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。
友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。
冤罪を晴らすため、奮闘していく。
同名主人公にて様々な話を書いています。
立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。
サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。
変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。
ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます!
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる