妹と違って無能な姉だと蔑まれてきましたが、実際は逆でした

黒木 楓

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18話

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 私がこの国から出て行こうとすると、魔道具に長けた貴族が飛龍隊を呼んで、魔道具の網を使い拘束しようとしてきた。

 魔力の数値を知って最悪の事態を想定したのか、事前に飛龍隊を待機させていたのでしょう。

 それでも、あの程度の魔道具では私の魔法を対処することはできず……この行動は、私を更に苛立たせただけだった。

 私を捕らえようとした貴族は、顔を青ざめながら必死に頭を下げてくる。

「さ、先ほどは無礼なことを致しました……どうかお許しください!」

「それほどまでにシャロンの力が必要だということだ! 魔道具を対処するとは有言実行、素晴らしいではないか!!」

 陛下が急に私を褒めて、それに賛同している貴族達を見ると、流石にうんざりしてきた。

「何をしても無駄でしたね。それでは……さようなら」

 そう宣言すると――ルオドラン王が全身を駆使して頭を下げ、王子達、貴族達が続く。

「た、頼む! 今までのことを許してくれぇっ! 俺にできることならどんなことでもする! だからこの国に――」

「――お断りします」

 ルオドラン王が告げたどんなことよりも、この国から出て行く方が私の中では上だ。

 私がこの場から消えるしか現実を受け入れることは出来なさそうだから、私は空を飛んで訓練場を後にする。

 茫然と眺める陛下や王子達、貴族の姿が見えたけど――国を捨てた私には、もうどうでもいいと思うようになっていた。

 × × ×

 訓練場から一番近い城壁を飛び越えて、私は着地する。

 白翼の魔法は空を飛ぶと膨大な魔力を使うから、これからのことを考えるとすぐに止めておきたかった。

「陛下達が追ってくる前に……この国を出るしかないわね」

 私は呟くと……返答があった。

「やはりこの国から出て行こうと考えていたか……その前に、俺の話を聞いて欲しい」

 いきなりそんなことを言われて、私は驚くことになる。

 私の目の前には――この国で唯一会いたかった、アゼル殿下の姿があった。
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