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11話

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 私は檻から出ることができて、城の外にある兵士達の訓練場に向かっている。

 檻から出て欲しくなかったのか、セローナが私を悔しそうに眺めていた。

 それでも、私が言ったセローナの魔力が上なら私を抑えられるという発言によるものか、何も言うことができない様子だ。

 今日はまだ聖女として活動していないから、セローナの魔力は全快になっている。

 それに対して私は窮屈な幽閉生活のせいで万全ではないけど、セローナの力を知っているから問題ない。

 そう考えながら歩いていると……私の後方で、貴族達の話が聞こてくる。

「コンディション的にどう考えてもセローナ様が有利だが、あの数値差は覆せないだろう」

「それはアゼル殿下の魔道具が正しければの話だ。いや……他の者が全員正しいのだから、正しいと思うが……あの数値はな……」

 訓練場に向かう途中、貴族達の会話を耳にして、私の隣を歩く上機嫌なアゼル殿下に尋ねる。

「私の魔力って、どれぐらい凄いのでしょうか?」

 聖女の力を得ても、魔法学園の平均値程度だった妹セローナが大したことないのだけは解る。

 私は他の人の魔力数値を知らないから、どれほど凄いのか解らなかった。

 それを理解してくれたのか、アゼル殿下が楽しそうに教えてくれる。

「シャロンの魔力は魔法学園教師の数倍以上だ……本来聖女の力を持ったセローナが、それぐらいなのではないかと期待されていた」

「セローナがあそこまで怒っているのも、それが理由のようですね……あの、アゼル殿下は、私の魔力を信じているのでしょうか?」

 私は蔑まれて生きてきたから、周囲の視線や反応で、どんな感情を抱いているのか察することができてしまう。

 この場に居る人達は、私の数値に半信半疑で困惑していて……だからこそ、私の提案を受け入れている
 
 それが普通だと思うけど、アゼル殿下は普通じゃない。

 自分の魔道具に自信があるからこそだと思うけど、私の魔力の数字が正しいと確信している様子だ。

 気になって尋ねてみると、アゼル殿下は微笑みを浮かべて。

「俺は、君の力を知っていた。君が決めた選択だから何も言わなかったけど、こうなれば別だ」

「……えっ?」

 アゼル殿下は――私がセローナに協力していたことを、知っていた?

 それなら、私が幽閉されたと知ったアゼル殿下は、急いで魔道具を完成させたのかもしれない。
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