11 / 58
11話
しおりを挟む
私は檻から出ることができて、城の外にある兵士達の訓練場に向かっている。
檻から出て欲しくなかったのか、セローナが私を悔しそうに眺めていた。
それでも、私が言ったセローナの魔力が上なら私を抑えられるという発言によるものか、何も言うことができない様子だ。
今日はまだ聖女として活動していないから、セローナの魔力は全快になっている。
それに対して私は窮屈な幽閉生活のせいで万全ではないけど、セローナの力を知っているから問題ない。
そう考えながら歩いていると……私の後方で、貴族達の話が聞こてくる。
「コンディション的にどう考えてもセローナ様が有利だが、あの数値差は覆せないだろう」
「それはアゼル殿下の魔道具が正しければの話だ。いや……他の者が全員正しいのだから、正しいと思うが……あの数値はな……」
訓練場に向かう途中、貴族達の会話を耳にして、私の隣を歩く上機嫌なアゼル殿下に尋ねる。
「私の魔力って、どれぐらい凄いのでしょうか?」
聖女の力を得ても、魔法学園の平均値程度だった妹セローナが大したことないのだけは解る。
私は他の人の魔力数値を知らないから、どれほど凄いのか解らなかった。
それを理解してくれたのか、アゼル殿下が楽しそうに教えてくれる。
「シャロンの魔力は魔法学園教師の数倍以上だ……本来聖女の力を持ったセローナが、それぐらいなのではないかと期待されていた」
「セローナがあそこまで怒っているのも、それが理由のようですね……あの、アゼル殿下は、私の魔力を信じているのでしょうか?」
私は蔑まれて生きてきたから、周囲の視線や反応で、どんな感情を抱いているのか察することができてしまう。
この場に居る人達は、私の数値に半信半疑で困惑していて……だからこそ、私の提案を受け入れている
それが普通だと思うけど、アゼル殿下は普通じゃない。
自分の魔道具に自信があるからこそだと思うけど、私の魔力の数字が正しいと確信している様子だ。
気になって尋ねてみると、アゼル殿下は微笑みを浮かべて。
「俺は、君の力を知っていた。君が決めた選択だから何も言わなかったけど、こうなれば別だ」
「……えっ?」
アゼル殿下は――私がセローナに協力していたことを、知っていた?
それなら、私が幽閉されたと知ったアゼル殿下は、急いで魔道具を完成させたのかもしれない。
檻から出て欲しくなかったのか、セローナが私を悔しそうに眺めていた。
それでも、私が言ったセローナの魔力が上なら私を抑えられるという発言によるものか、何も言うことができない様子だ。
今日はまだ聖女として活動していないから、セローナの魔力は全快になっている。
それに対して私は窮屈な幽閉生活のせいで万全ではないけど、セローナの力を知っているから問題ない。
そう考えながら歩いていると……私の後方で、貴族達の話が聞こてくる。
「コンディション的にどう考えてもセローナ様が有利だが、あの数値差は覆せないだろう」
「それはアゼル殿下の魔道具が正しければの話だ。いや……他の者が全員正しいのだから、正しいと思うが……あの数値はな……」
訓練場に向かう途中、貴族達の会話を耳にして、私の隣を歩く上機嫌なアゼル殿下に尋ねる。
「私の魔力って、どれぐらい凄いのでしょうか?」
聖女の力を得ても、魔法学園の平均値程度だった妹セローナが大したことないのだけは解る。
私は他の人の魔力数値を知らないから、どれほど凄いのか解らなかった。
それを理解してくれたのか、アゼル殿下が楽しそうに教えてくれる。
「シャロンの魔力は魔法学園教師の数倍以上だ……本来聖女の力を持ったセローナが、それぐらいなのではないかと期待されていた」
「セローナがあそこまで怒っているのも、それが理由のようですね……あの、アゼル殿下は、私の魔力を信じているのでしょうか?」
私は蔑まれて生きてきたから、周囲の視線や反応で、どんな感情を抱いているのか察することができてしまう。
この場に居る人達は、私の数値に半信半疑で困惑していて……だからこそ、私の提案を受け入れている
それが普通だと思うけど、アゼル殿下は普通じゃない。
自分の魔道具に自信があるからこそだと思うけど、私の魔力の数字が正しいと確信している様子だ。
気になって尋ねてみると、アゼル殿下は微笑みを浮かべて。
「俺は、君の力を知っていた。君が決めた選択だから何も言わなかったけど、こうなれば別だ」
「……えっ?」
アゼル殿下は――私がセローナに協力していたことを、知っていた?
それなら、私が幽閉されたと知ったアゼル殿下は、急いで魔道具を完成させたのかもしれない。
49
お気に入りに追加
5,386
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ですか。お好きにどうぞ
神崎葵
恋愛
シェリル・アンダーソンは侯爵家の一人娘として育った。だが十歳のある日、病弱だった母が息を引き取り――その一年後、父親が新しい妻と、そしてシェリルと一歳しか違わない娘を家に連れてきた。
これまで苦労させたから、と継母と妹を甘やかす父。これまで贅沢してきたのでしょう、とシェリルのものを妹に与える継母。あれが欲しいこれが欲しい、と我侭ばかりの妹。
シェリルが十六を迎える頃には、自分の訴えが通らないことに慣れ切ってしまっていた。
そうしたある日、婚約者である公爵令息サイラスが婚約を破棄したいとシェリルに訴えた。
シェリルの頭に浮かんだのは、数日前に見た――二人で歩く妹とサイラスの姿。
またか、と思ったシェリルはサイラスの訴えに応じることにした。
――はずなのに、何故かそれ以来サイラスがよく絡んでくるようになった。
魔法が使えなかった令嬢は、婚約破棄によって魔法が使えるようになりました
天宮有
恋愛
魔力のある人は15歳になって魔法学園に入学し、16歳までに魔法が使えるようになるらしい。
伯爵令嬢の私ルーナは魔力を期待されて、侯爵令息ラドンは私を婚約者にする。
私は16歳になっても魔法が使えず、ラドンに婚約破棄言い渡されてしまう。
その後――ラドンの婚約破棄した後の行動による怒りによって、私は魔法が使えるようになっていた。
陰謀は、婚約破棄のその後で
秋津冴
恋愛
王国における辺境の盾として国境を守る、グレイスター辺境伯アレクセイ。
いつも眠たそうにしている彼のことを、人は昼行灯とか怠け者とか田舎者と呼ぶ。
しかし、この王国は彼のおかげで平穏を保てるのだと中央の貴族たちは知らなかった。
いつものように、王都への定例報告に赴いたアレクセイ。
彼は、王宮の端でとんでもないことを耳にしてしまう。
それは、王太子ラスティオルによる、婚約破棄宣言。
相手は、この国が崇めている女神の聖女マルゴットだった。
一連の騒動を見届けたアレクセイは、このままでは聖女が謀殺されてしまうと予測する。
いつもの彼ならば関わりたくないとさっさと辺境に戻るのだが、今回は話しが違った。
聖女マルゴットは彼にとって一目惚れした相手だったのだ。
無能と蔑まれていた辺境伯が、聖女を助けるために陰謀を企てる――。
他の投稿サイトにも別名義で掲載しております。
この話は「本日は、絶好の婚約破棄日和です。」と「王太子妃教育を受けた私が、婚約破棄相手に復讐を果たすまで。」の二話の合間を描いた作品になります。
宜しくお願い致します。
たのしい わたしの おそうしき
syarin
恋愛
ふわふわのシフォンと綺羅綺羅のビジュー。
彩りあざやかな花をたくさん。
髪は人生で一番のふわふわにして、綺羅綺羅の小さな髪飾りを沢山付けるの。
きっと、仄昏い水底で、月光浴びて天の川の様に見えるのだわ。
辛い日々が報われたと思った私は、挙式の直後に幸せの絶頂から地獄へと叩き落とされる。
けれど、こんな幸せを知ってしまってから元の辛い日々には戻れない。
だから、私は幸せの内に死ぬことを選んだ。
沢山の花と光る硝子珠を周囲に散らし、自由を満喫して幸せなお葬式を自ら執り行いながら……。
ーーーーーーーーーーーー
物語が始まらなかった物語。
ざまぁもハッピーエンドも無いです。
唐突に書きたくなって(*ノ▽ノ*)
こーゆー話が山程あって、その内の幾つかに奇跡が起きて転生令嬢とか、主人公が逞しく乗り越えたり、とかするんだなぁ……と思うような話です(  ̄ー ̄)
19日13時に最終話です。
ホトラン48位((((;゜Д゜)))ありがとうございます*。・+(人*´∀`)+・。*
熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。
しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。
「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」
身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。
堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。
数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。
妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。
父の大事な家族は、再婚相手と異母妹のみで、私は元より家族ではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
フィロマという国で、母の病を治そうとした1人の少女がいた。母のみならず、その病に苦しむ者は、年々増えていたが、治せる薬はなく、進行を遅らせる薬しかなかった。
その病を色んな本を読んで調べあげた彼女の名前は、ヴァリャ・チャンダ。だが、それで病に効く特効薬が出来上がることになったが、母を救うことは叶わなかった。
そんな彼女が、楽しみにしていたのは隣国のラジェスへの留学だったのだが、そのために必死に貯めていた資金も父に取り上げられ、義母と異母妹の散財のために金を稼げとまで言われてしまう。
そこにヴァリャにとって救世主のように現れた令嬢がいたことで、彼女の人生は一変していくのだが、彼女らしさが消えることはなかった。
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。
みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。
マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。
そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。
※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓
クリスティーヌの華麗なる復讐[完]
風龍佳乃
恋愛
伯爵家に生まれたクリスティーヌは
代々ボーン家に現れる魔力が弱く
その事が原因で次第に家族から相手に
されなくなってしまった。
使用人達からも理不尽な扱いを受けるが
婚約者のビルウィルの笑顔に救われて
過ごしている。
ところが魔力のせいでビルウィルとの
婚約が白紙となってしまい、更には
ビルウィルの新しい婚約者が
妹のティファニーだと知り
全てに失望するクリスティーヌだが
突然、強力な魔力を覚醒させた事で
虐げてきたボーン家の人々に復讐を誓う
クリスティーヌの華麗なざまぁによって
見事な逆転人生を歩む事になるのだった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる