妹と違って無能な姉だと蔑まれてきましたが、実際は逆でした

6話

　幽閉されてから数日が経ち――私はそろそろ、ルオドラン国から出て行こうと考えていた。

　今までセローナに協力ばかりしていた。
　牢の中で休むことができたけど、もう退屈になっている。

　この牢は魔力を弾くようだけど、本気を出せば壊せる。

　妹のセローナが聖女として活躍できず、私を頼ってきたら元の生活に戻れそうだと考えていたけど、問題なくて来ているようだ。

「最初はセローナが謝れば元の生活に戻ろうかと思ったけど、牢に入ってからの反応を見た後だと、もうどうでもよくなってきたわね」

　私は牢の日々を思い返したけど、食事を渡してくる時が最悪だった。

　一応公爵令嬢ということもあってか普通の食事だけど、渡す人の態度が悪すぎる。

　聖女として活躍している妹と違い、幽閉されて何もしていない私を憐れみ、馬鹿にする人も居た。

　幽閉される直前の貴族達の反応を思い返すと……もうルオドラン国の力にならなくてもいいと思うようになっている。

　今日の夜にこの特殊な魔道具の檻を破壊して、ルオドラン国から出よう。

　そう考えていた時――私の前に、大人数がやって来ていた。

　陛下や王子達、貴族達がかなりの人数で来ていて、先頭には妹のセローナが居る。

　普通に蔑んでいたりしている貴族もいるけど、不安になっている人や、焦っている人、様々な反応なのが気になってしまう。

「あの……なにかありましたか？」

　どうも様子がおかしくて、私は尋ねる。

　一番酷いのは妹のセローナで、顔を青ざめながら全身を震わせていた。

　いつもは私を見下している様子なのに、今は恐怖していることに驚いていると、小柄な美少年が前に出る。

「俺が開発した魔道具で、君の力を確認したいんだ！」

　この人は第三王子のアゼル殿下で……私を見て、なぜか嬉しそうな表情を浮かべていた。