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4話 セローナ視点

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 冒険者登録をする時、基準値の力があるかどうかを計る魔道具が存在する。
 その魔道具を参考に第三王子アゼルが開発した。魔力値を正確に数値化する魔道具。

 どうやら何人か魔法学園の生徒に試したようで、アゼル殿下が最大値と最低値、そして平均値を説明してくれる。

 余計な魔道具を作らないで欲しいと、セローナはアゼル殿下を恨むしかない。

 代々受け継がれる国に宿る魔力を聖女の証として継承しているから、魔力の数値は高くなければおかしい。

 聖女の力を得たことで、セローナはこの国で一番優秀な魔力だと部屋の人々は確信している様子だ。

 とてつもないプレッシャーをセローナは受けるも、自分なら大丈夫だと思い込むことにしていた。

「聖女セローナ様の魔力の数値がどれほどのものなのか……楽しみです!」

「ルオドラン国一の魔法士の数値が、魔法学園教師の3倍でしたから……教師の5倍はありそうですな!」

 王の間の貴族達は、新しい玩具を手に入れた子供のように喜びセローナに期待している。

 魔力を数値化して、他の人と比較できることがそれほどまでに嬉しいのか。
 もしセローナが無関係なら、同じ気持ちだったかもしれない……これから魔力を測定されて、数値が低かった時どうなるのか恐怖するしかない。

 内心では姉シャロンの協力によるものだと考えつつあるも、セローナは必死に頭の中で否定する。

 ――優秀なのは聖女に選ばれた私で、姉シャロンは無能に決まっている。

 もしセローナが本当に聖女としての力があれば、謙遜しながらも凄い数値を出してこの場を盛り上げることができるはず。
 それができるのだろうかと、セローナは不安で押し潰されそうになってしまう。

 不安になっている中、婚約者のルゼン殿下が、セローナに魔道具の小箱を見せて。 

「よし。セローナよ。この箱に触れて数秒経てば、箱の上からモニターが発生して数値が出る……触れてくれ」

 触れたくない。
 それでも……魔道具作りの才能がある第三王子アゼルの作品を、この場で否定することはできない。

「わかりました……いきます」

 全身を震えさせながらも、セローナは意志を強く持つ。

 そうだ――これで本当に私の力が解って、姉シャロンによる呪縛が解ける。

 これは私にとってもいいことだと……自分が絶対だと考えていたセローナは、この時まで確信していた。

 魔道具によって結果がすぐに判明して――発覚したセローナの魔力値は、魔法学園生徒の平均値だった。
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