4 / 58
4話 セローナ視点
しおりを挟む
冒険者登録をする時、基準値の力があるかどうかを計る魔道具が存在する。
その魔道具を参考に第三王子アゼルが開発した。魔力値を正確に数値化する魔道具。
どうやら何人か魔法学園の生徒に試したようで、アゼル殿下が最大値と最低値、そして平均値を説明してくれる。
余計な魔道具を作らないで欲しいと、セローナはアゼル殿下を恨むしかない。
代々受け継がれる国に宿る魔力を聖女の証として継承しているから、魔力の数値は高くなければおかしい。
聖女の力を得たことで、セローナはこの国で一番優秀な魔力だと部屋の人々は確信している様子だ。
とてつもないプレッシャーをセローナは受けるも、自分なら大丈夫だと思い込むことにしていた。
「聖女セローナ様の魔力の数値がどれほどのものなのか……楽しみです!」
「ルオドラン国一の魔法士の数値が、魔法学園教師の3倍でしたから……教師の5倍はありそうですな!」
王の間の貴族達は、新しい玩具を手に入れた子供のように喜びセローナに期待している。
魔力を数値化して、他の人と比較できることがそれほどまでに嬉しいのか。
もしセローナが無関係なら、同じ気持ちだったかもしれない……これから魔力を測定されて、数値が低かった時どうなるのか恐怖するしかない。
内心では姉シャロンの協力によるものだと考えつつあるも、セローナは必死に頭の中で否定する。
――優秀なのは聖女に選ばれた私で、姉シャロンは無能に決まっている。
もしセローナが本当に聖女としての力があれば、謙遜しながらも凄い数値を出してこの場を盛り上げることができるはず。
それができるのだろうかと、セローナは不安で押し潰されそうになってしまう。
不安になっている中、婚約者のルゼン殿下が、セローナに魔道具の小箱を見せて。
「よし。セローナよ。この箱に触れて数秒経てば、箱の上からモニターが発生して数値が出る……触れてくれ」
触れたくない。
それでも……魔道具作りの才能がある第三王子アゼルの作品を、この場で否定することはできない。
「わかりました……いきます」
全身を震えさせながらも、セローナは意志を強く持つ。
そうだ――これで本当に私の力が解って、姉シャロンによる呪縛が解ける。
これは私にとってもいいことだと……自分が絶対だと考えていたセローナは、この時まで確信していた。
魔道具によって結果がすぐに判明して――発覚したセローナの魔力値は、魔法学園生徒の平均値だった。
その魔道具を参考に第三王子アゼルが開発した。魔力値を正確に数値化する魔道具。
どうやら何人か魔法学園の生徒に試したようで、アゼル殿下が最大値と最低値、そして平均値を説明してくれる。
余計な魔道具を作らないで欲しいと、セローナはアゼル殿下を恨むしかない。
代々受け継がれる国に宿る魔力を聖女の証として継承しているから、魔力の数値は高くなければおかしい。
聖女の力を得たことで、セローナはこの国で一番優秀な魔力だと部屋の人々は確信している様子だ。
とてつもないプレッシャーをセローナは受けるも、自分なら大丈夫だと思い込むことにしていた。
「聖女セローナ様の魔力の数値がどれほどのものなのか……楽しみです!」
「ルオドラン国一の魔法士の数値が、魔法学園教師の3倍でしたから……教師の5倍はありそうですな!」
王の間の貴族達は、新しい玩具を手に入れた子供のように喜びセローナに期待している。
魔力を数値化して、他の人と比較できることがそれほどまでに嬉しいのか。
もしセローナが無関係なら、同じ気持ちだったかもしれない……これから魔力を測定されて、数値が低かった時どうなるのか恐怖するしかない。
内心では姉シャロンの協力によるものだと考えつつあるも、セローナは必死に頭の中で否定する。
――優秀なのは聖女に選ばれた私で、姉シャロンは無能に決まっている。
もしセローナが本当に聖女としての力があれば、謙遜しながらも凄い数値を出してこの場を盛り上げることができるはず。
それができるのだろうかと、セローナは不安で押し潰されそうになってしまう。
不安になっている中、婚約者のルゼン殿下が、セローナに魔道具の小箱を見せて。
「よし。セローナよ。この箱に触れて数秒経てば、箱の上からモニターが発生して数値が出る……触れてくれ」
触れたくない。
それでも……魔道具作りの才能がある第三王子アゼルの作品を、この場で否定することはできない。
「わかりました……いきます」
全身を震えさせながらも、セローナは意志を強く持つ。
そうだ――これで本当に私の力が解って、姉シャロンによる呪縛が解ける。
これは私にとってもいいことだと……自分が絶対だと考えていたセローナは、この時まで確信していた。
魔道具によって結果がすぐに判明して――発覚したセローナの魔力値は、魔法学園生徒の平均値だった。
52
お気に入りに追加
5,386
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ですか。お好きにどうぞ
神崎葵
恋愛
シェリル・アンダーソンは侯爵家の一人娘として育った。だが十歳のある日、病弱だった母が息を引き取り――その一年後、父親が新しい妻と、そしてシェリルと一歳しか違わない娘を家に連れてきた。
これまで苦労させたから、と継母と妹を甘やかす父。これまで贅沢してきたのでしょう、とシェリルのものを妹に与える継母。あれが欲しいこれが欲しい、と我侭ばかりの妹。
シェリルが十六を迎える頃には、自分の訴えが通らないことに慣れ切ってしまっていた。
そうしたある日、婚約者である公爵令息サイラスが婚約を破棄したいとシェリルに訴えた。
シェリルの頭に浮かんだのは、数日前に見た――二人で歩く妹とサイラスの姿。
またか、と思ったシェリルはサイラスの訴えに応じることにした。
――はずなのに、何故かそれ以来サイラスがよく絡んでくるようになった。
魔法が使えなかった令嬢は、婚約破棄によって魔法が使えるようになりました
天宮有
恋愛
魔力のある人は15歳になって魔法学園に入学し、16歳までに魔法が使えるようになるらしい。
伯爵令嬢の私ルーナは魔力を期待されて、侯爵令息ラドンは私を婚約者にする。
私は16歳になっても魔法が使えず、ラドンに婚約破棄言い渡されてしまう。
その後――ラドンの婚約破棄した後の行動による怒りによって、私は魔法が使えるようになっていた。
陰謀は、婚約破棄のその後で
秋津冴
恋愛
王国における辺境の盾として国境を守る、グレイスター辺境伯アレクセイ。
いつも眠たそうにしている彼のことを、人は昼行灯とか怠け者とか田舎者と呼ぶ。
しかし、この王国は彼のおかげで平穏を保てるのだと中央の貴族たちは知らなかった。
いつものように、王都への定例報告に赴いたアレクセイ。
彼は、王宮の端でとんでもないことを耳にしてしまう。
それは、王太子ラスティオルによる、婚約破棄宣言。
相手は、この国が崇めている女神の聖女マルゴットだった。
一連の騒動を見届けたアレクセイは、このままでは聖女が謀殺されてしまうと予測する。
いつもの彼ならば関わりたくないとさっさと辺境に戻るのだが、今回は話しが違った。
聖女マルゴットは彼にとって一目惚れした相手だったのだ。
無能と蔑まれていた辺境伯が、聖女を助けるために陰謀を企てる――。
他の投稿サイトにも別名義で掲載しております。
この話は「本日は、絶好の婚約破棄日和です。」と「王太子妃教育を受けた私が、婚約破棄相手に復讐を果たすまで。」の二話の合間を描いた作品になります。
宜しくお願い致します。
君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。
みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。
マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。
そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。
※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓
クリスティーヌの華麗なる復讐[完]
風龍佳乃
恋愛
伯爵家に生まれたクリスティーヌは
代々ボーン家に現れる魔力が弱く
その事が原因で次第に家族から相手に
されなくなってしまった。
使用人達からも理不尽な扱いを受けるが
婚約者のビルウィルの笑顔に救われて
過ごしている。
ところが魔力のせいでビルウィルとの
婚約が白紙となってしまい、更には
ビルウィルの新しい婚約者が
妹のティファニーだと知り
全てに失望するクリスティーヌだが
突然、強力な魔力を覚醒させた事で
虐げてきたボーン家の人々に復讐を誓う
クリスティーヌの華麗なざまぁによって
見事な逆転人生を歩む事になるのだった
精霊に愛されし侯爵令嬢が、王太子殿下と婚約解消に至るまで〜私の婚約者には想い人がいた〜
水都 ミナト
恋愛
精霊王を信仰する王国で、マナの扱いに長けた侯爵家の娘・ナターシャ。彼女は五歳でレイモンド王太子殿下の婚約者に抜擢された。
だが、レイモンドはアイシャ公爵令嬢と想い合っていた。アイシャはマナの扱いが苦手で王族の婚約者としては相応しくないとされており、叶わない恋であった。
とある事件をきっかけに、ナターシャは二人にある提案を持ち掛けるーーー
これはレイモンドとアイシャ、そしてナターシャがそれぞれの幸せを掴むまでのお話。
※1万字程度のお話です。
※他サイトでも投稿しております。
婚約者の命令で外れない仮面を着けた私は婚約破棄を受けたから、仮面を外すことにしました
天宮有
恋愛
婚約者バルターに魔法が上達すると言われて、伯爵令嬢の私シエルは顔の半分が隠れる仮面を着けることとなっていた。
魔法は上達するけど仮面は外れず、私達は魔法学園に入学する。
仮面のせいで周囲から恐れられていた私は、バルターから婚約破棄を受けてしまう。
その後、私を恐れていなかった伯爵令息のロランが、仮面の外し方を教えてくれる。
仮面を外しても魔法の実力はそのままで、私の評判が大きく変わることとなっていた。
熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。
しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。
「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」
身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。
堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。
数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。
妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる