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94話

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 作る料理は決まっていて、食材も購入している。

 昼も食べたのにワイバーンの肉を使うべきか悩んだけど、食べたくなったのだから仕方ないでしょう。

 そう考えながら……私は今から作る料理、唐揚げを強くイメージする。

 一口大に切ったお肉に下味をつけて小麦粉を混ぜ、後から片栗粉を入れて再び混ぜていく。

 衣を作り、下味をつけたワイバーンの肉に衣をまぶして、油であげる。

 唐揚げは一度作ったことがあるけど……見た目は普通だけど味は微妙で、売っている唐揚げを食べた方が絶対にいいと思ってしまった。

 その悔しさもあって作りたいと思っていたけど……作るのは料理スキルなのよね。

 いいえ。料理スキルも私の力のようなものだから、私が再挑戦に成功したということでいいはず!

 料理スキルを使い――大きいテーブルの上には、ご飯、サラダ……そしてワイバーンの唐揚げが並んでいた。

 私達は食事にするけど、衣はサクサクとしていて、肉厚は鶏肉以上にジューシーだ。

「美味ぇ! こんな料理が毎日食べられるとか、アカネのパーティで本当によかった!」

「アカネ様の知識があってこそです……ワイバーンを問題なく倒せたほどですし、私達はアカネ様の料理によってとてつもなく強くなっていますね」

 ロドリゴの話からして、ワイバーン討伐を日帰りで行うのは相当とんでもなかったようね。

 それほどまでにレーリアがウォルが強くなっているのだから、もしマミカとミユキが追手を向かわせても、問題ないはず。

 それなのに……どうしてか、私は嫌な胸騒ぎがしてしまう。

 私達は依頼を受けながら、美味しい料理を食べてこの世界を満喫したいだけ。

 それだけで幸せなのに、その幸せが壊れてしまうのではないかと、時々不安になってしまう。

 私の思い過ごしなのか、転移した者にだけ感じ取れる力なのかは解らない。

 何事もなくこの生活が続けばいいと思っていたのに――私達の元に、魔の手が迫ろうとしていた。
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